第37回原子力規制委員会(令和7年10月22日)
出典 : https://youtube.com/live/XfD6B08615s?si=wgCpZXq_2IIOthgu
議題1:試験研究用等原子炉設置者である東芝エネルギーシステムズ株式会社の株式会社東芝への合併の認可に関する審査の結果の案の取りまとめ
-
技術的な議論の内容
- 申請概要: 東芝エネルギーシステムズ株式会社(TES)を消滅会社とし、株式会社東芝を存続会社とする吸収合併の認可申請 。
- 対象施設: 東芝臨界実験装置(TCA)および東芝教育訓練用原子炉(TTR)の2施設。両施設とも廃止措置段階にある 。
- 審査項目と結果: 原子炉等規制法に基づき、以下の5項目について確認された 。
- 平和利用: 目的や処分方法に変更はなく、原子炉も稼働不可な状態(廃止措置中)であるため、平和利用の目的に変更はないことを確認 。
- 経理的基礎: 廃止措置に関する資金は、株式会社東芝の社内資金により充当されることを確認 。
- 技術的能力: 必要な業務、人員等はそのまま株式会社東芝が承継し、教育訓練も従前通り実施されることを確認 。
- 品質管理体制: 合併後は、株式会社東芝の社長をトップマネジメントとする体制が確立されることを確認。それ以下の実務組織は現状通り引き継がれ、保安・品質管理体制は維持される 。
- 欠格条項: 株式会社東芝は欠格条項に該当しないことを確認 。
- 質疑応答:
- (委員)TESと東芝の社長は現在同一人物だが、体制移行後も実務上の責任者や機能は維持されるか 。
- (規制庁)現在、両社の社長はたまたま同一人物。合併後は東芝の社長がトップマネジメントとなるが、それ以下の組織は現状のまま引き継がれ、保安業務や品質管理は従前のとおり担当される 。
- (委員)他の原子力関連施設(核燃料使用施設等)の手続きはどうなるか 。
- (規制庁)核燃料使用施設についても、別途、事務局専決にて手続きが進められる 。
-
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
-
(委員→規制庁)核燃料使用施設についても、しっかりと手続きを進めるよう指示 。
-
決定事項:
- 審査結果の案の取りまとめ(別紙1)を決定 。
- 原子力委員会(別紙2)及び文部科学大臣(別紙3)への意見聴取の実施を決定 。
- 本件に関する科学的・技術的意見の募集(パブリックコメント)は実施しないことを了承 。
-
議題2:第22回主要原子力施設設置者(被規制者)の原子力部門の責任者との意見交換会(CNO意見交換会)の結果報告
-
技術的な議論の内容
-
1. SA設備、特重設備のLCOに係る記載の一部見直し
- (事業者提案)SA(重大事故等対処)設備および特重(特定重大事故等対処施設)設備のLCO(運転上の制限)について、一律に設定された経緯がある。当面、不具合発生可能性が高く、予備機切替等で機能維持が容易なもの(衛星電話、可搬型モニタリングポストの伝送系、使用済燃料プール監視カメラ)について、LCOの記載見直しを提案 。
- (規制庁)特段の異論なし。個別の保安規定変更認可申請で審査・確認する 。
-
2. 重大事故時に特重を活用して安全性を向上
- (事業者提案)新規制基準許可時は特重施設が存在しなかったため、特重なしでの対策(有効性評価シナリオ)となっている。特重が完成した現在、これを活用して事故シナリオ(有効性評価)を見直したい 。
- (具体例:九州電力)特重施設から蒸気発生器へ直接給水するラインを新設。これにより、従来の可搬型ポンプ・ホースによる水源確保作業(人員)を縮小でき、安全性も向上する 。
- (論点)九州電力の案は「全交流電源喪失」シナリオで特重(交流電源が必要)を使うもの。これは「交流電源がなくても24時間耐えられるか」を見るシナリオの趣旨に反するのではないか 。
- (委員)特重の設置によりリスクを下げられるのは事実。シナリオは固定的なものではなく、科学技術の進歩(特重の設置)も踏まえて考えるべき 。
-
3. 特重施設等設置の経過措置期間について
- (事業者提案)経過措置期間(公認後5年)を3年間延長してほしい 。
- (理由)他律的要因として「建設業界の労働環境の変化」。労働基準法改正に伴い、4週8休(閉所)、週40時間稼働、夜間作業なし等が業界で標準化され、工期が長期化している。試算では最大2年9ヶ月の遅延が発生する 。
- (委員)2019年のCNO意見交換会(当時は「岩盤が固い」等が理由)の時と理由が変わらない。簡単に変更できるものではない 。
- (委員)建設業界の事情とは別に、経過措置を延長(5年→8年)した場合の安全性(テロリスク等)への影響の観点から議論すべき 。
- (委員)2015年(5年と決定)や2019年(再確認)の意思決定を変更することになり、社会への説明責任が発生する。当時の判断根拠(リスク評価等)がどう変わったのか、ロジック自体を見直すのか、慎重な検討が必要 。
-
4. 原子力発電所の廃止措置に関わるもの
- (事業者提案)
- クリアランスに関する放射能評価手法の標準化を検討したい 。
- L1・L2廃棄体の製作・評価方法を標準化すべく、学会標準の改定を議論したい 。
- 廃止措置計画の変更について、リスクが大幅に低下した後(使用済燃料搬出後など)も一律に変更認可が必要か、規制の合理化を検討してほしい 。
- (規制庁・委員)(1)(2)は意見交換に応じる。標準化は重要であり積極的に議論すべき。(3)は委員会でも問題意識があり、安全上の重要度に応じた規制のあり方の中で検討する 。
- (事業者提案)
-
-
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- (委員長→規制庁)議題2-3(経過措置期間の延長要請)について、委員会で改めて議論するため、以下の点を整理すること。
- 要請範囲の確認: 事業者(東北電力CNO)に対し、延長要請の範囲(女川2号のみか、認可済み全プラントか、将来のものも含むか)を明確に確認すること 。
- 根拠データの補強: 理由(労働環境の変化)について、2019年時点との差分も含め、試算根拠等の詳細データを事業者とやり取りし補強させること 。
- 経緯の整理: 特重の経過措置は一度変更している経緯がある。特重の位置づけや、なぜ(守られない場合に)厳しい措置をとるかなど、これまでの議論の経緯を資料として正確にまとめること 。
- (委員長→規制庁)議題2-3(経過措置期間の延長要請)について、委員会で改めて議論するため、以下の点を整理すること。
議題3:第75回技術情報検討会の結果概要
-
技術的な議論の内容
-
1. 標準応答スペクトル策定手法の信頼性向上(安全研究)
- 「震源を特定せず」の地震動推定(剥ぎ取り解析)に関し、新たな手法を提案。一部地域(長野~茨城)の記録では、新手法の結果はおおむね同等か小さくなる傾向 。
- (今後)適用事例が限定的なため、安全研究で全国の観測記録に適用し、標準応答スペクトルの妥当性を確認する 。
-
2. 緊急時対応技術マニュアルの解説(公衆被ばく評価)
- ERC(緊急時対応センター)プラント班が、ERSSデータ等から「手計算」で迅速に影響評価するマニュアルの「技術的根拠」をNRA技術報告として公開 。
- (目的)システムが使えない時やユーザーを問わず簡便に計算し、意思決定(防護措置の集中等)の参考にするため。また、職員が自己進展を予測する能力を養う「教材」としての側面も持つ 。
-
3. 原子力分野におけるAIの利用に関する調査
- 国内外動向に加え、規制庁の取組(OpenAI連携、NRCガイド評価、OECD/NEA参画、審査支援予算要求等)を報告 。
- (委員)情報収集(ウォッチ)だけでなく、規制庁内部で「使ってみる」など、もっとチャレンジすべき。海外の動向を待つ「後追い」姿勢は消極的。「当面使うな」「使うときは言え」等の最低限のメッセージ発信はできるはず 。
- (委員長)利用できるところは利用し、最終判断を人がすればよい(例:検査評価)。事業者と意見交換しトライすべき 。
-
4. 事故トラブル情報
- (a) 電気ペネトレーション(ハンダ付け)調査(第2報)
- 高浜4号機自動停止事象(ピックテール型ケーブルのハンダ部が施工不良による荷重で剥離と推定)に関連し、別タイプ(三軸三重同軸型)の健全なケーブルを調査 。
- (結果)ハンダ部は健全で、引っ張り強度も自重を大きく超える。適切な施工状態なら剥離は発生しないと考えられる 。
- (委員)推測されたストーリー(機械的負荷による剥離)の裏付けとして、引き続き、本物(高浜4号機のもの)の調査や、同タイプに負荷をかけて剥離するかの実証を期待する 。
- (b) 米国PWR 炉心槽溶接部亀裂への事業者対応
- 米国ロビンソン発電所の事象を受け、国内事業者はJASME(日本機械学会)規格の技術評価を見据え、健全性評価の準備を進めている 。
- (計画)2025年度中に「点検評価ガイドライン」策定、2026年度に詳細検査装置製作、2028~35年度に実機検査(9プラント予定)等を計画 。
- (規制庁)事業者は一連の流れ(検査方法、判定基準、健全性評価、補修)を検討している 。
- (a) 電気ペネトレーション(ハンダ付け)調査(第2報)
-
-
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- (委員→規制庁)AIの活用について、情報収集・ウォッチにとどまらず、規制庁内部で試用してみるなど、より積極的な検討(チャレンジ)を求める 。
- (委員→規制庁)高浜4号機のペネトレーションの件について、推定された不具合メカニズム(荷重によるハンダ剥離)の解明に向け、引き続き調査(実機調査、実証試験等)のフォローを求める 。