第1365回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合(令和7年10月28日)
出典 : https://www.youtube.com/watch?v=zGZ2FhzT4pk
議題1:九州電力(株)玄海原子力発電所3号炉及び4号炉の設置変更許可申請(主変圧器及び所内変圧器更新)に係る審査について
技術的な議論の内容
- 更新の理由:
- 玄海3, 4号炉の主変圧器および所内変圧器は、運転開始後約30年が経過。
- 絶縁性能は機能に問題ないことを確認済みだが、長期使用による経年劣化(絶縁性能低下)が予想されるため、予防保全の観点から更新する。
- 変更点の概要:
- 構造: 主変圧器と所内変圧器を一体構造とし、関連設備(冷却基板、消火装置)も統合する。
- 冷却方式(所内変圧器): 従来の油入風冷式から送油風冷式に変更する。
- 理由: 一体化に伴うコンパクト化のため、より効率的な冷却方式を採用する。
- 影響: 新たに送油ポンプが追加されるが、既存の主変圧器にも送油ポンプはあり、同様の保全を行うため問題ない。
- 設置位置: 一体構造化に伴い所内変圧器が移動するが、既設の変圧器基礎内での配置変更であり、設備全体としての設置位置変更はなく、他設備への影響もない。
- 設置許可基準規則への適合性:
- 関連条文は第4条(地震)、第12条(安全施設)、第33条(保安電源設備)。設計方針は既許可から変更なし。
- 地震(第4条)に関し、地盤の安定性が確認された既設基礎の範囲内での配置変更であり、影響はないと評価。
- 保安規定への影響:
- 容量等の仕様は変更されるが、新たな運用追加や、運用によって技術基準適合性を担保する事項はない。
- 保安規定の添付図面に当該変圧器が明示されているものはないため、保安規定の変更は不要と判断。
- 能登半島地震を踏まえた対応(自主的な安全性向上):
- 北陸電力志賀原子力発電所での変圧器故障(配管損傷、放圧装置動作)と復旧長期化を踏まえた対応。
- 耐震性向上:
- 従来設計:耐震Cクラスに対し、JEAG 5003に基づき0.5Gを考慮。
- 更新後:自主的に1Gを考慮して設計(基礎補強、支持金物の増強等)。これにより冷却機配管等の強振が起きにくい構造とする。
- 放圧装置の早期復旧対策:
- 従来:部材破壊タイプ(動作後に部材交換が必要)。
- 更新後:自動復帰式(部材の破壊を伴わないタイプ)を採用し、早期復旧を可能にする。
- 規制庁の見解(杉山委員):
- 変圧器は耐震Cクラスであり、規制上、壊れてはならないものではない。
- しかし、安全系動作のために外部電源が使える可能性を高めること(外部電源の多系統要求の趣旨)は安全上重要。
- 復旧も含めた総合的な実力を向上させることは望ましいとの観点で審査している。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 申請書や補足説明資料の詳細確認は、引き続き事務局(規制庁)のヒアリングで継続する。
- ヒアリングの中で新たな論点が確認された場合は、審査会合で改めて説明を求める可能性がある。
議題2:(株)グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン 燃料体の設計の型式証明の審査について
技術的な議論の内容
- 審査会合コメントへの回答状況:
- 全25件の指摘事項のうち、今回16件について回答。残り3件(補正申請方針2件、燃料棒内圧1件)は次回以降。
- 主な技術的議論(今回回答分):
- 基準適合性の説明(コメントNo.15): 米国での実績・知見(例:米国での新型燃料許認可評価項目との網羅性比較)を、データの充足性の説明に活用し、評価項目ごとに説明済み。
- データ充足性(コメントNo.8): 9x9燃料からの変更点(10x10化、GNF-Zry採用)に関し、主な影響因子を踏まえて必要なデータを整理。評価項目ごとにデータが充足していること、または代替可能であることを説明済み。
- 評価項目名の変更(コメントNo.20): 評価内容を反映し名称を変更。(例:「5.9 水素化」 → 「5.9 製造時残留水分に起因する水素化」)
- GNF3型の設計変更と適応性(コメントNo.6, 17):
- 主な変更点:燃料棒配列(9x9→10x10)、被覆管・ペレット寸法、燃料棒有効長さ、被覆管材料(GNF-Zry追加)。
- ペレット最高燃焼度は、9x9燃料と同じ値に補正申請するため変更なし。
- 燃料棒有効長増加に伴う内圧増加に対応し、新たに「リフトオフ基準」を追加。
- 寸法変更は過去の実績・試験データ・解析コードの適用範囲内。GNF-Zryの特性はジルカロイ2と同等以上であり、設計方針・解析手法の適応性に影響なし。
- 燃料棒内圧上昇の影響(コメントNo.3):
- 内圧が外圧を超えると外向きのクリープ変形が生じるが、GNF3型では「限界内圧」を設定し、設計内圧がこれを下回ることでリフトオフ(ギャップの継続的拡大)は発生せず、破損には至らない。
- その他の影響(クリープ歪み、金属組織、耐食性、水素化物積出方位等)も問題ないことを確認。
- GNF-Zry製10x10被覆管の適合性(コメントNo.4, 9, 11, 12, 13, 24):
- 金属組織: 集合組織(異方性や水素化物積出に影響)や合金元素析出物(耐食性に影響)の状態・照射挙動は、ジルカロイ2と類似・同等。
- 機械的特性: 軸方向の強度(交付効力・引張強さ)は、ジルカロイ2製9x9被覆管と同等。
- 円周方向塑性ひずみ: 未照射材の破断伸びは同程度。照射影響(中性子、水素吸収)についても、集合組織や水素濃度が同程度であることから、従来の「円周方向平均塑性ひずみ1%」の基準を適用可能。
- 腐食・水素吸収特性: 炉内照射試験(LUA含む)及び炉外試験で、ジルカロイ2と同等以上の耐食性・耐水素吸収特性を有することを確認。
- リフトオフ評価の対象(コメントNo.23): 長期間の継続によりクリープ歪みが大きくなり得る「通常運転時」を対象とする。「運転時の異常な過渡変化時」は、過渡的な変化の影響が無視できるため考慮不要。
- GNF-Zryの固溶鉄化の効果(規制庁 北野氏質問): 合金設計として固溶鉄化を施している。照射により母材金属中の鉄濃度が上昇し、これにより耐食性・耐水素吸収特性が改善されるものと考察している。
- 今後のスケジュール:
- 残り3件の回答と補正申請方針の説明のため、12月に再度審査会合の開催を希望。
- 補正申請の予定を2026年1月に変更する。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 未回答の3件(補正申請方針、限界内圧)について:
- 遅延理由の確認(西内氏): 補正申請方針(No.5, 7)は、初の型式証明であり、設置許可や後段プロセスとの関係性、事業者(ユーザ側)との全体像の整理に時間を要している。限界内圧(No.22)は、熱機械設計モデル式レベルでの詳細な整理に時間を要している。
- 規制庁の指摘(西内氏):
- 限界内圧(No.22): 技術的に重要な事項であり、速やかに審査資料を準備・提出すること。
- 申請書記載方針(No.5, 7): 申請者(GNFJ)とユーザー側(アテナ)との間で連携不足(ヒアリングでの認識齟齬など)が見受けられる。両者でしっかり連携し、12月の会合に向けて資料準備を行うこと。
- 全般(杉山委員): GNFJは次回の審査会合に向けて準備を進めること。
議題3:電源開発(株) 大間原子力発電所の重大事故等対策について
技術的な議論の内容
- 評価の前提:
- 地震PRA: 今回は2014年申請時点の地震ハザードおよび既工認の設計で評価。今後、地震ハザード確定後に最新設計を反映した評価を別途実施する。
- 津波PRA: 2025年8月に確定した津波ハザードで評価。
- プラントウォークダウン(地震・津波共通):
- 大間原子力発電所は建設中であり実施不能なため、「机上検討」で代替。
- 学会標準の確認観点に基づき分析し、新たな事故シナリオが抽出されないことを確認。
- (規制庁質問:HPCSポンプ等は設置済みでは?)→(電源開発回答:配管未接続や建設用足場があり、所定の機能を発揮できる状態ではない。劣化状況は別途管理している。)
- 今後、所定の機能が発揮できる状態になった段階(安全性向上評価PRA実施時)で、プラントウォークダウンを別途実施する。
- 地震PRA(レベル1):
- 事故シナリオ: 地震後の運転員の混乱状態(コールレス状態)は操作阻害要因となり得るため、レベル1PRAで考慮。
- 評価結果(全炉心損傷頻度): 2.8 x 10^-6 /炉年
- 主要な起因事象: 「交流電源・補機冷却系喪失」(寄与割合 78.0%)
- 理由: 発生要因である原子炉補機冷却系の設備設置建屋(タービン建屋、廃棄物処理建屋)および配管のHCLPF(耐震裕度)が相対的に小さいため。
- 主要な事故シーケンスグループ: 「全交流動力電源喪失」(寄与割合 76.6%)
- 人的過誤: 地震発生後の混乱に伴う高ストレス状態を仮定し、内部事象PRAより高いストレスレベルを設定。
- 津波PRA(レベル1):
- プラントの特徴: 敷地高さ T.P. +12m に主要建屋を設置。浸水防止設備を考慮すると T.P. +12m 以下の津波による浸水経路はない。
- 起因事象の抽出: 浸水防止設備の機能に期待せずに分析し、「敷地及び建屋内への浸水」など4事象を選定。
- 津波ハザード: 敷地高さ T.P. +12m を超過する津波の発生頻度は 8.5 x 10^-9 /年 と非常に小さい。
- フラジリティ評価: 機器の被水・没水は、津波が機能喪失高さに到達した時点で確率1.0で機能喪失すると仮定。
- 評価結果(全炉心損傷頻度): 8.5 x 10^-9 /炉年
- T.P. +12m 超過(=敷地及び建屋内への浸水)が100%を占める。
- 今後のスケジュール:
- 地震・津波ハザード審査(年超過確率の確定)と、PRA・耐震/耐津波設計審査との関係をスケジュール上で明確化。
- 地震PRAは、地震ハザードの審査結果を踏まえて再評価し、改めて説明予定。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- ① 地震レベル1PRAについて: 地震ハザードの確定後、評価結果については改めて説明すること。
- ② 津波レベル1PRAについて: 用いている津波ハザードについて、今後の審査(ハザード側)により見直しがなされた場合には、その影響を説明すること。