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第38回原子力規制委員会(令和7年10月29日)

出典 : https://youtube.com/live/SzG7L1T26l4?si=3jPtFS7rsg5r0huC

議題1:関西電力株式会社美浜発電所の発電用原子炉設置変更許可(3号発電用原子炉施設の変更)——使用済燃料乾式貯蔵施設の設置——決定

  • 技術的な議論の内容
    • 本件は、令和6年7月12日に関西電力が申請した、美浜発電所3号機の使用済燃料乾式貯蔵施設の設置に関する設置変更許可です。
    • 原子力規制委員会は、令和7年9月24日に審査結果の案を取りまとめていました。
    • その後、原子力委員会へ意見聴取し、「平和の目的以外に利用される恐れがない」との答申を受けました。
    • 経済産業大臣へも意見聴取し、「許可することに異存はない」との回答を得ました。
    • 技術的な議論は9月24日の会合で完了しています。
  • 規制庁からのコメント・指示
    • (本件は「決定」のため、質疑・コメントはありませんでした。)
  • 決定事項
    • 委員による採決の結果、別紙3のとおり「発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査の結果」を取りまとめること、および別紙4のとおり「発電用原子炉設置変更許可」を決定しました。

議題2:国際原子力機関(IAEA)の総合規制評価サービス(IRRS)ミッションの事前提出資料(ARM)(第2回)了承

  • 技術的な議論の内容
    • 令和7年10月15日の委員会で議論されたARM(事前提出資料)案に対するコメントへの対応状況が説明されました。
    • 主な修正点(10月15日のコメント反映):
      • サマリーレポート内の許認可・審査・評価の章で、発電炉、研究炉、核燃料施設等の記述について、施設間の横並び(比較)がしやすいよう修正しました。
      • IAEAのテンプレート項目(例:4.4の測定(Measurement))に対し回答が漏れていた箇所を精査し、内容(例:業務計画の進捗に関する定量的・定性的評価、職員アンケートによる安全文化の測定)を追記しました。
      • 廃止措置に関するグレーデッドアプローチについて、アクションプラン3(実用炉の許認可制度の見直し)の中に、「廃止措置計画認可制度」についてもグレーデッドアプローチを踏まえた見直しを行う旨を追記しました。
      • SARIS(Self-Assessment Reporting and Information System)回答案(No. 26)の事業者とのコミュニケーションに関し、「原則公開」の運用において、規制の検討に必要な事業者からの情報提供のあり方について「工夫の余地がある」というニュアンスを追記しました。
      • (杉山委員コメント関連)旧原子力安全委員会が作成した指針等を、単に参照するのではなく、規制委員会がその中身の責任も含めて引き継いでいることを明確にするよう記述を修正しました。
  • 規制庁からのコメント・指示(委員からのコメント)
    • (長崎委員) 略称リストが現在、本文中の登場順になっているが、アルファベット順の方が見やすいため、検討を指示しました。
      • →(規制庁)アルファベット順に整理することを了承しました。
    • (山岡委員) SARIS No. 26の「公式(フォーマル)」と「非公式(インフォーマル)」の対話の区分は、文化的背景もあり国によって解釈が異なる可能性があるため、IRRSミッション本番のやり取りの中で、IAEA側の意図をよく確認し、議論するよう指示しました。
    • (山中委員長) 廃止措置に関する記述を(アクションプラン等に)明記・追記したことで、より分かりやすくなったと評価しました。
  • 決定事項
    • 別紙2から別紙4(サマリーレポート案、SARIS回答案等)の内容、および別紙5(参考資料リスト)について、英訳したものをIAEAに提出することを了承しました。
    • 今後の予定:11月25日までにIAEAへARMを提出し、令和8年1月26日からのミッションに臨みます。

議題3:東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所に係る審査及び検査の改善に向けた検討(第3回)了承

  • 技術的な議論の内容
    • 背景: 1F(福島第一原子力発電所)の状況が事故直後と比べ安定し、敷地外への多量放出リスクが相当低減しました。このため、原子力安全上より重要なものに規制資源を重点的に投入できるよう、審査・検査の枠組みを改善します。
    • 1. 審査に関する改善:
      • 審査実績の文書化: これまでの1F特有のケースバイケースの審査実績や知見を「実務要領」として策定します。これは審査官が参考にする文書とし、ガイド(=規制要求)とはせず、1F室長の決裁で柔軟に改定できるようにします。
      • LCOの名称変更: 廃止措置に向けた作業中の施設の運用実態に鑑み、「運転上の制限(LCO)」という名称を、他の廃止措置施設で用いられている「施設運用上の基準」等に変更することを検討し、規則改正案を作成します。
    • 2. 検査に関する改善(規則改正):
      • 溶接検査: 消耗品交換など同一設計の繰り返し溶接は経験が蓄積されているため、「溶接検査」を独立させず、「使用前検査」に統合し、供用開始時の最終性能確認の中で合わせて適切性を確認します。
      • 使用前検査: タンクなど同一設計で繰り返し設置される施設は、実績(安全上の問題なし)を踏まえ、事業者の意見も聞いた上で対象を選定し、規則に基づき「使用前検査」を受けずに使用できるよう文書で通知する枠組みとします。また、工事工程ごとではなく、より柔軟な検査ができるよう規則を改正します。
      • 施設定期検査: 現状は全設備に実施しておりリスクベースになっていません。今後は「施設定期検査」の枠組み(を廃止し)、事業者の施設管理の状況は「保安検査」にて確認する形とし、リスクに応じた資源投入が可能な枠組みとします。
  • 規制庁からのコメント・指示(委員からのコメント)
    • (山岡委員) 今回の改善(リソースの重点化)の考え方は、他の一般施設の廃止措置や審査・検査にも共有できる知見であるため、規制庁内でうまく情報共有を進めるよう指示しました。
    • (杉山委員) 合理化の検討にあたっては、「過去の実績」に加え、「リスク(サイト外影響、作業員被曝など)」をしっかり踏まえた線引きの考え方を共通認識として持つよう指示しました。「施設運用上の基準」という名称は、既存の用語であり適切であると評価しました。
    • (山中委員長) 今回の改善は、単なる合理化ではなく、作業やプロセスのリスクを事業者と規制側が共有・理解した上で審査・検査を行うための改善であると認識している旨を述べました。
  • 決定事項
    • 提示された審査・検査の改善の方向性を了承しました。
    • 今後の予定:11月頃に東電と意見交換、12月頃に規則改正案のパブリックコメント実施を委員会に付議し、令和8年4月1日から新制度の運用開始を目指します。

議題4:山岡委員の出張報告

  • 技術的な議論の内容
    • 会議: IAEA(国際原子力機関)主催の「外部ハザードに関する対応の国際会議」(ウィーン)
    • キーノートスピーチ実施: 山岡委員が登壇し、能登半島地震を題材に、外部ハザードに対する日本の経験と国際貢献について講演しました。
    • 会議の主なトピック:
      • 強振動ハザード確率論的研究や、気象シミュレーション(AI活用による台風進路予測等)の動向が報告されました。
      • SMR(小型モジュール炉)やアドバンストリアクター(新型炉)に関する議論が活発であり、それらの外部ハザード対策についても議論されました。
      • 「レジリエンス」(回復力)という概念が重視されてきていること、福島第二原子力発電所が津波災害を切り抜けた「レジリエンス」の事例として言及されたことが報告されました。
    • IAEAとの意見交換: EESS(外部イベント安全セクション)のパオロ・コントリー氏らと意見交換を実施しました。
  • 規制庁からのコメント・指示(委員からの所感・提言)
    • (山岡委員)
      • 国際会議の場での日本のプレゼンス向上のため、規制人材育成事業で関わりのある大学教員や、国内の地球科学系学会との連携を強化し、参加を促していくことが国際貢献にもつながると提言しました。
      • 会議資料は今後Webで公開される予定です。

その他:原子力施設等におけるトピックス(令和7年10月20日~10月26日)

  • 技術的な議論の内容
    • 事故対処室より2件の事案について報告がありました。
    • 1. 美浜発電所3号機 LCO逸脱事案(10月24日):
      • 内容:排気系(アニュラス送風機)の出口ダンパーが固着。
      • 対応:ダンパー軸に注油したところ動作が回復し、LCO逸脱から復帰しました。
      • (杉山委員より確認)本件はLCOの完了時間が10日間と設定されている(=事故時に使用するよう素除去系であり、直ちに運転に影響するものではない)ため、リスクがそれほど高くない事案であるとの認識でよいか。
      • (規制庁)その通り。
    • 2. 島根原子力発電所2号機 新燃料の転倒(受取検査中):
      • 内容:燃料メーカーから輸送された新燃料の受取検査時、クレーン作業中にロック(治具)の固定を失念したため、燃料が転倒しました。
      • 影響:作業員1名が負傷(労働災害)。燃料が変形しました。
      • 所管:受取検査中のため、まだ電力会社の所有物ではなく、燃料メーカーの責任下での作業でした。
  • 規制庁からのコメント・指示(委員からのコメント)
    • (杉山委員) 島根2号機は最近運転を再開したため、燃料納入作業も久しぶりだったと思われる。それ故に(ロック失念という)基本動作が徹底されていなかった点は残念である、とコメントしました。