第8回核燃料サイクル技術評価検討会(令和7年10月31日)
出典 : https://youtube.com/live/XUKv_DeQQBw?si=FjLOUwYunfiPm2R8
議題1:安全研究プロジェクトの技術的観点からの評価 (再処理施設等における重大事故等のリスク評価に関する研究 事前評価)
規制庁からの研究計画説明(森氏、山口氏)
- 研究の背景
- 規制課題: 以下の2点において、再処理施設等のリスク評価に関する技術的知見が必要となっている。
- 原子力規制検査: リスク情報を活用した効率的・効果的な検査(検査の優先順位付け)の実施。
- 安全性向上評価: 事業者が実施する確率論的リスク評価(PRA)等の妥当性を規制委員会が確認。
- 技術課題:
- 再処理施設等のPRA手法は未成熟であり、PRA以外の評価手法(ISA: 統合安全評価 など)も含め、知見が不足している。
- 重大事故(特に蒸発乾固)の影響評価において、不確かさを低減させた精度の高い評価が必要である。
- 規制課題: 以下の2点において、再処理施設等のリスク評価に関する技術的知見が必要となっている。
- 研究課題
- (1) リスク評価手法:
- 再処理施設の特徴(放射性物質の分散)を踏まえ、「複数事象の重畳」に関する評価手法の知見が必要。
- PRAの成熟に時間を要するため、並行して「簡易的・低負荷」な評価手法(構造重要度など)の整備も必要。
- (2) 重大事故の影響把握(蒸発乾固):
- 冷却機能喪失による「蒸発乾固」事象は、揮発性放射性物質が生成される恐れがあり特に重要。
- 事象進展(環境変化)を考慮した網羅的・定量的な試験データの蓄積が課題。
- 特にルテニウム(Ru)、セシウム(Cs)、テクネチウム(Tc)に着目する。
- (1) リスク評価手法:
- 研究目的
- 規制検査や安全性向上評価の確認に資するため、「複数事象の重畳評価手法」「簡易的リスク評価手法」「蒸発乾固事象(未取得知見)」に関する技術的知見を蓄積する。
- 研究概要
- (1) リスク評価手法に関する研究(規制庁実施)
- 簡易的手法: 「構造重要度」を用いた簡易評価手法の特徴、適用範囲、算出方法を整理する。
- 特徴を踏まえた手法: 「複数事象の重畳」を念頭に、マルチユニットPRA等の国内外の動向を収集・分析し、留意点・着眼点を整理する。
- (2) 蒸発乾固に関する研究(一部委託)
- ① Ruの移行挙動: 各現象(凝縮液移行、材料沈着等)の複合的・相反的な関係を詳細に把握する。
- ② Cs・Tcの移行挙動: 乾固物中の「共存物質」や「気相雰囲気」(NOx等)の影響を把握する。
- ③ まとめ: ①②のデータに基づき事象進展を整理し、解析的検討を行い、全体像の知見を蓄積する。
- (1) リスク評価手法に関する研究(規制庁実施)
- 研究計画(令和8年度~令和12年度)
- (1) 簡易的手法はR10年度末までに論文投稿を目指す。
- (1) 特徴を踏まえた手法はR12年度まで継続的に情報収集・分析を行う。
- (2) 蒸発乾固研究はR10~R12年度に本格的なデータ取得・モデル作成・検証を行う。
質疑応答
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武部専門技術者(日本原燃)
- Q. ウラン加工施設は対象か。
- A. (森氏) 本研究の対象外だが、簡易的手法は(リスクが低い施設として)流用・活用できる可能性がある。
- Q. 簡易的手法(構造重要度)で、詳細情報を用いないフォールトツリーの起因事象のモデル化(グルーピング等)はどう考えるか。
- A. (森氏) そこが研究のポイントであり、公開情報等を掘り下げて検討する。
- Q. 簡易的手法の適用範囲として、異常な過渡変化、設計基準事故、重大事故など、どの事象を対象とするか。
- A. (森氏) 現状は一つの事故事象をターゲットとしている。それをどう繋げて全体評価するかが課題である。
- Q. 資料1-1の「試解析」とは、PRAモデルを組んで評価することか。
- A. (横塚氏) 過去に作成した再処理施設模擬モデルを活用し、「複数事象の重畳」等を評価できる解析コードで試解析を行うことを考えている。
- Q. 事業者のPRAが整備された後、簡易評価(構造重要度)はどう扱うか。
- A. (森氏) PRAが成熟した段階ではそちらに移行し、簡易評価は「参考情報」として扱う。
- C. (武部氏) 簡易評価とPRAの重要度は整合しない可能性があり、運用時には事業者とよく意見交換し、納得感を持つことが重要。
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田口専門技術者(JAEA)
- Q. 蒸発乾固研究で、気相移行後の経路(ダクト)での挙動(凝縮、沈着)はスコープ内か。
- A. (山口氏) スコープ内であり、特にRuの経路中での挙動がメインテーマ。今後は「材料への沈着」の評価モデル用データを中心に取得する。
- Q. Tc・Cs研究の「共存物質の影響」(乾固物は固体)とは具体的に何か。
- A. (山口氏) 先行研究で、模擬廃液を600℃以上に加熱するとCsが揮発し、その際TcやMo等と化合物を形成し、揮発温度やタイミングが変化することが示唆された。このメカニズムを精緻に研究する。
- C. (田口氏) ガラス固化工程(1100℃)でのTc揮発に関する知見(海外文献等)も参考にすると良い。
- A. (山口氏) 既にそれらの文献も踏まえて計画を定めている。
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浅沼外部専門家(東海大学)
- Q. Tcは実アイソトープを使用するか。
- A. (山口氏) はい。安定同位体がなく、これまで考慮できていなかったため。模擬廃液にTcを添加して使用する。
- Q. 模擬元素(Re)でのデータと、今回のアクティブTcデータを比較する計画は。
- A. (山口氏) 比較は検討しており、管理区域内に分析装置等を整備して実施する。
- Q. 研究成果の活用時期はいつか。
- A. (森氏) 再処理施設のリスクは常に存在するため、研究期間終了を待たず、成果がまとまり次第、随時活用を検討する。
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新井外部専門家(芝浦工業大学)
- Q. 蒸発乾固時の「昇温速度」による影響(硝酸→NOx、Ru→RuO4の変化)は評価するか。
- A. (山口氏) 昇温速度は重要であり、パラメータとして振ったデータも取っており、今後も進める。
- Q. RuO4の沈着について。沈着の「安定性」(再揮発しないか)は研究するか。
- A. (山口氏) RuO4の昇華温度は1000℃レベルであり、現時点では(低温での)再揮発は想定していない。
- Q. 配管の「材質の違い」(SUS304 vs 316等)による沈着挙動は検討するか。
- A. (山口氏) 304と304Lの差は(厳密にはあるが)大局的には変わらないと認識。SUS vs ペイント vs コンクリートといった「材料そのもの」の違いをまず優先する。
- Q. 15ページの「気相・雰囲気等」の影響とは具体的に何か。
- A. (山口氏) 「硝酸蒸気」や「NOxガス」を指す。これらが沈着挙動に影響するデータが示唆されており、確認する。
- Q. R12年度の「モデルの妥当性検証」は何をもって行うか。
- A. (山口氏) (類似データが少ないため)主に自分たちで取得した試験データとの比較。また、解析コードに組み込み、全体傾向としておかしくないかも含めトータルで検証する。
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桐島外部専門家(東北大学)
- Q. 諸外国(仏、英、米)の再処理工場PRAの状況は。
- A. (森氏) 米国は非公開(ウラン加工施設はISA活用)。フランスは定期安全レビューで部分的にPRA活用。英国はPRAと決定論等を組合せ。本研究でもこれらの動向(PRA「以外」の手法含む)を調査する。
- Q. 「精度の高い評価」の具体的なゴール設定は。
- A. (森氏) 現状に対しどれだけ確度(不確かさの幅)を狭められるか、という相対的なもの。できる限り努力する(常に向上させる)方針。
- Q. 重大事故として「蒸発乾固」を挙げているが、他の重大事故(臨界、水素爆発等)の研究は。
- A. (森氏) 重大事故は6つある。リソースの問題もあり、まず最重要と考える蒸発乾固を実施。目処がつけば他も検討する。
- Q. Ru研究で、他の金属元素(ウラン、鉄など)の「共存影響」は見るか。
- A. (山口氏) 従来の試験も「代表組成」の模擬廃液(硝酸塩)を使用しており、共存影響は含まれている。ウランは高レベル廃液のメジャー元素であり、影響の有無は答える必要があるので、今後必要に応じ検討する。
- C. (桐島氏) 「仮焼」固定の研究(ドイツ等)の文献サーベイも、揮発挙動の参考になるのでは。
- A. (山口氏) 関連文献も調べた上で試験計画に反映する。
議題2:その他
- 事務局より、評価シート・意見シートの提出期限について連絡(専門技術者:11月6日、外部専門家:11月11日)。
- 桐島外部専門家より、評価シートの項目「解析結果の評価手法、実験結果の評価手法が適切か」について、現時点では詳細が示されていないため「コメントできない」という評価でよいかとの質問があり、事務局はこれを了承した。