第39回原子力規制委員会(令和7年11月5日)
出典 : https://youtube.com/live/ajna-FP71IA?si=rcNdzEXCCfB2gkc-
*### 会議内容の概要
- 屋内退避関連文書の整備: 原子力災害対策指針(原災指針)の運用に関する関連文書案の策定と、住民・地方公共団体等の意見を聴取するための任意の意見公募の実施が了承されました。
- 文書体系の整理とQ&Aの役割: 原災指針の関連文書全体の体系整理の方針が報告されました。また、意見公募を行う「関連文書案」と、柔軟かつ迅速に改訂を行う「Q&A」(補足文書)の2種類を使い分ける運用が確認されました。
- 非発電炉の考慮事項を追記: 文書案には、発電用原子炉施設以外の原子力施設(研究炉、核燃料施設など)における、予防的防護措置を準備する区域(PAZ)がないことや、緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)が小さいことなどの特徴を踏まえた屋内退避の考慮事項が追記されました。
- 女川2号機PRAモデルの課題: 原子力規制検査で用いる確率論的リスク評価(PRA)モデルの適切性確認について報告があり、女川原子力発電所2号機のモデルでは、人的過誤のスクリーニング基準の不整合や、外部リークのモデル化に関する課題が指摘されました。
- 功労者表彰の報告: 令和7年度放射線安全管理功労・環境放射能対策功労表彰の受賞者、特に原子力規制委員会委員長賞の受賞者について報告が行われました。
議題1:屋内退避に関する指針の関連文書案及び意見公募の実施並びに指針の関連文書の体系整理
技術的な議論の内容
- 屋内退避の指針関連文書案の基礎と追加内容:
- 文書案は、原子力災害対策指針(原災指針)の運用に関するもので、屋内退避検討チームの報告書がベースとなっている。
- 住民説明会や自治体からの意見を踏まえ、以下の内容が追記された。
- 屋内退避の位置づけ: 被ばくのリスクと、避難による健康上のリスクの双方を比較考慮した考え方であること。
- 複合災害時の対応: 自然災害や健康状態により即時の避難ができない場合は、避難できる状態が整うまで屋内退避を実施すること。
- 屋内退避中の一時外出: 放射性物質放出後の一時的な外出については、原子力施設やモニタリングの結果を踏まえ、可能な場合は国が判断を行うこと。
- 防護装備の要否: 一時的な外出時に、特別な防護装備や線量管理は不要であること。
- 発電用原子炉施設以外の原子力施設に関する考慮事項:
- 発電炉以外の施設は、予防的防護措置を準備する区域(PAZ)がない、または緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)が発電炉と比較して小さく設定されているという特徴がある。
- UPZ内は屋内退避を基本とした運用とすること。
- 放射性物質の放出までが短い事故の場合には、一時的な外出を控える必要があること。
- 解除要件は、発電炉と同様に「原子力施設の状態に関する要件」と「放射性物質の存在に関する要件」で判断されること。
- 指針の関連文書全体の体系整理に関する方針:
- これまで分類・整理がなされていなかった関連文書について、文書の位置づけや内容を把握しやすくするため、体系整理を実施し一覧表にまとめる。
- 原災指針の総論、防護措置、医療といった項目ごとに5つの領域に分類し、策定時系列や作成名義(委員会/規制庁)を明示する。この表は規制庁ホームページで公開し、適宜更新・管理を行う。
- 委員からの意見(文書の運用に関する技術的側面):
- 住民の方々が直接関わるため、意思決定の各プロセスで意見を聴取することが重要であり、今回の任意の意見公募の実施を支持。
- 補足文書として作成されるQ&A(屋内退避編)は、住民の懸念に応える上で重要であり、金科玉条扱いせずに、柔軟に繰り返し手を加え、シチュエーションごとの「How(どのように)」に答えられるように運用すべき。
- 文書の使い分けとして、意見公募など一定の手続きを行う「関連文書案(別紙1)」と、意見を迅速に反映する「Q&A」の2種類の文書を持つことが大事である。
- 研究炉や核燃料施設などの個別施設について、まずQ&Aで個別のお問い合わせに対応し、知見が固まってきた段階で上位の文書(別紙1)を更新するという柔軟な対応を要望。
- 屋内退避の検証と運用には訓練が重要であり、また、住民の不安解消のため、情報(特にモニタリング結果など目に見えないもの)を、フェイク情報対策も含めて丁寧かつ適切に提供していくことが重要である。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 屋内退避に関する指針の関連文書案(別紙1): 行政手続き法に基づく意見募集は不要だが、住民や地方公共団体等が関わるため、任意の意見募集を実施する。
- Q&Aの作成と運用:
- 意見募集の結果を踏まえ、文書案の決定とともに、その内容を補足する文書としてQ&Aを新たに作成する。
- Q&Aは原子力規制庁の放射線防護企画課名義(課名義)で作成し、適宜更新・追記がしやすい形で運用していく。
- 発電用原子炉施設以外の原子力施設に関する知見についても、Q&Aをこまめに更新管理し、知見が集まった段階で関連文書案(別紙1)を更新する。
議題2:原子力規制検査で用いる確率論的リスク評価モデルの適切性確認に係る報告(女川原子力発電所2号機の確率論的リスク評価モデル及び産業界における中長期的改善箇所への対応状況)
技術的な議論の内容
- 女川2号機PRAモデルの指摘事項(中長期的改善箇所):
- 人的過誤のスクリーニング基準の不整合: 事象発生前の人的過誤の対象機器のスクリーニングにおいて、配管の主配管口径に対する割合(相対値)で除外しているものがある一方、高エネルギー配管破断の評価対象配管に対するスクリーニングは絶対値で設定しており、基準に整合が取れていない。
- 外部リークのモデル化の考え方: 女川2号機(BWR)では、原子炉補給冷却系の外部リークは内部事象PRAでモデル化せず、内部溢水PRAで確認することとしているが、PWR側では内部事象PRAで当該系統の外部リークをモデル化しており、評価範囲の切り分けが炉型によって異なっている。
- これらの改善箇所は、産業界全体の中長期的改善箇所に包含されていることが確認された。
- PRAモデルの活用:
- PRAモデルは、検査官が機器の不具合がどの程度のリスクにつながっているかを現場でチェックするリスク情報活用検査(Graded Approach)のツールとして用いられる。
- 委員からは、このPRAモデルが緻密な評価だけでなく、現場レベルで使えるようなツールになることが期待された。
- PRAモデルの提供時期:
- 原子力規制検査への反映に際し、規制庁が想定するよりもPRAモデルの提供が若干遅れているとの認識が示された。
- 理想的には、新しい規制検査制度の開始までに全炉のレベル1(炉心損傷頻度)モデルが揃っていることが望ましかったが、現状は一部の炉にとどまっている。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 人的過誤のスクリーニング基準の修正: 事業者(女川2号機)は、スクリーニング基準の適正化修正を検討し、2027年度を目途に修正を完了する予定である。
- PRAモデルの提供の加速: リスク情報活用検査への反映のため、産業界が公表しているPRAモデルの提出時期を前倒しするよう、規制庁から事業者に働きかけを継続する。
議題3:令和7年度放射線安全管理功労・環境放射能対策功労表彰の受賞者 報告
技術的な議論の内容
- 表彰の概要: 公益財団法人原子力安全技術センター(放射線障害防止中央協議会)が主催する、放射線安全管理や環境放射能対策に優れた成果を挙げた方々に対する表彰について、原子力規制委員会が後援し、委員長賞を授与することの報告。
- 受賞者の選定:
- 主催団体が推薦を募集し、主催団体が設ける表彰委員会が選定を行った。
- 令和7年度は放射線安全管理功労者11名、環境放射能対策功労者11名が選定された。
- このうち、原子力規制委員会委員長賞の受賞者は各分野1名ずつである。
- 委員からのコメント: 主催団体が専門的な評価委員会を設置し、公正な選考を行っていること、また、委員長賞の授与を通じて功労者を称えることは非常に重要であると評価。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 報告事項につき、特になし。
トピックス(その他報告事項):再処理⼯場 ウラン・プルトニウム混合脱硝建屋 塔槽類廃ガス処理室での作業中の汚染事象
技術的な議論の内容
- 事象の発生: 再処理⼯場 ウラン・プルトニウム混合脱硝建屋 塔槽類廃ガス処理室での作業中、作業員3名(半面マスク着用)のマスクフィルター表面に汚染が確認された。
- 汚染の経路: 作業員3名のうち2名が、汚染固定のためのテープ貼付前に、作業エリア内でフィルターを外して呼吸をしてしまったことが確認された。
- 内部被ばくの確認と対応: 3名に対しエリア退出後に鼻腔スミア検査を実施したところ、1名から有意な値を確認したため、直ちに鼻口洗浄を実施し内部被ばくを防護した。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 今後の対応方針の報告: 委員から、この汚染事象に対する今後の対処方針について報告を求められた。
- 規制庁の回答:
- 次回の四半期報告(令和7年第3四半期)の際に、この事象に関する追加検査の要旨を検討し、それを踏まえて委員会にお諮りする予定である。間に合えば四半期報告の中で報告・提案を行う。