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第1369回 原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合(令和7年11月11日)

出典 : https://youtube.com/live/u8M07_gvFb8?si=nObRBoPZA_-_wOHB

議題1:中部電力(株)浜岡原子力発電所4号炉の設計基準への適合性及び重大事故等対策について

1. 緊急時対策所(34条、61条、技術的能力1.18)

技術的な議論の内容: * 換気空調設備の設計方針: * 浜岡4号炉は、先行炉(柏崎刈羽等)で採用されている「ボンベ加圧」方式と異なり、プルーム通過時も「外気少量取り込み運転」を継続する設計方針が説明されました。 * この方式は、常設の吸気ファン、再循環ファン、再循環フィルターユニットを用い、緊急時対策所内を正圧化し、希ガス等を除く放射性物質の流入を低減するものです。 * 設計の優位性(事業者説明): * ボンベ加圧方式と異なり、CO2濃度や酸素濃度による収容人数・活動時間の制限がないと説明されました。 * 複数号炉同時発災時(3号炉と4号炉)でも、多くの要員(4号炉単独60名、3号炉含め73名)の活動が可能であるとされました。 * 遠隔操作盤により、通常運転から外気少量取り込み運転への切り替えが容易で、要員の負荷が低いと説明されました。 * 被ばく評価(事業者説明): * 対策所は原子炉建屋から離隔(T.P.12mの高台)があり、遮蔽も踏まえ、屋外からのガンマ線影響は約0.5ミリシーベルトと低いと評価されました。 * 外気少量取り込みによる内部被ばく(主に希ガス)を考慮しても、7日間の実効線量は約31ミリシーベルトであり、基準(100ミリシーベルト)を下回ると評価されました。 * この約31ミリシーベルトという値は、複数号炉同時発災を想定した先行炉(柏崎)と同等レベルであると説明されました。 * 質疑応答(被ばく評価の信頼性): * パージ(掃気)効果: プルーム通過後、通常運転(パージ)に切り替えることで、室内の希ガス濃度が低下する効果を見込んでいます。事業者から「約5時間で元の濃度レベルに戻る」と口頭説明がありましたが、評価(計算)のプロセスや保守性が不明確であると指摘されました。 * 再循環フィルターユニットの影響: フィルターに吸着した放射性物質からの被ばく影響について、QADコードで評価し、2階本部室への影響は最大約1.5×10^-2 ミリシーベルト/h程度と説明されました。 * その他(ダクト等)の影響: ダクト曲がり部やディーゼル発電機(DG)フィルター等への局所的な汚染・付着の影響について質問があり、事業者は影響がごく小さい(DG付着で10^-6 ミリシーベルト/hオーダー)と説明しましたが、資料での詳細な説明はありませんでした。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): 1. 外気少量取り込み運転の採用理由の明確化: * 被ばくをより低減できるボンベ加圧方式(先行実績あり)を採用せず、あえて30ミリシーベルト程度の被ばくを許容して「外気少量取り込み運転」を選択する具体的なメリット・デメリットを整理し、採用理由を明確に説明すること。 * 特に「要員の負荷軽減」や「多くの収容人数が必要」とする点が、ボンベ加圧方式と比較してどれほど優位なのか、具体的に説明すること。 2. 被ばく評価の信頼性に関する説明の充実: * パージ(掃気)効果の定量的説明: プルーム通過後のパージにより「約5時間で濃度が低下する」という評価について、その導出過程(計算方法、前提条件)及び、その効果を被ばく評価でどのように(保守的に、あるいは実態として)考慮しているのかを資料に明記し、定量的に説明すること。 * 外気少量取り込み特有の評価事項の網羅的整理: * 先行炉(ボンベ加圧)と比較し、浜岡の方式(外気少量取り込み)特有の評価事項(例:パージ効果、再循環フィルターからの被ばく、ダクトやDG等への付着影響など)を網羅的に整理し、それぞれの評価の妥当性・信頼性を次回会合で説明すること。 * 特に「100ミリシーベルト以下だから良い」という考え方ではなく、作業員の防護(ALARA)の観点がどう考慮されているか分かるように説明すること。 * 希ガスの減衰効果の確認: 希ガスによる被ばく評価において、発災から24時間後のプルーム通過を想定し、その間の時間減衰を考慮していることが確認されました。


2. 通信連絡設備(35条、62条、技術的能力1.19)

技術的な議論の内容: * 先行BWR電力(女川2号炉など)と同様の設計方針であることが説明されました。 * 発電所内、発電所外、データ伝送それぞれにおいて、有線系、無線系、衛星系の多様性を確保した通信連絡設備を配備します。 * 電源については、中央制御室は非常用ディーゼル発電機、無停電電源、代替電源(ガスタービン発電機等)から給電可能。緊急時対策所も同様に非常用電源及び代替電源(緊急時対策所ディーゼル発電機)から給電可能な設計となっています。 * 代替電源設備からの給電手順や、各設備の使用手順も整備する方針が示されました。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): * (特段の指摘事項なし)


3. 重大事故等対策の有効性評価

技術的な議論の内容: * 格納容器破損防止対策(DCH, FCI, MCCI): * 高圧溶融物放出(DCH)、溶融燃料-冷却材相互作用(FCI)、溶融炉心・コンクリート相互作用(MCCI)の3ケースについて説明されました。 * 対策の概要:RPV(原子炉圧力容器)破損前に、BAF(燃料有効長底部)+20%で逃がし安全弁(SRV)2弁による急速減圧を実施。また、MCCI対策として格納容器下部へ約2.8mの水張りを事前に行います。 * RPV破損後は、格納容器下部注水、可搬型による格納容器代替スプレー、最終的に代替循環冷却系(ARHR)による冷却・除熱を行います。 * 評価結果:DCH(RPV破損直前圧力 約0.2MPa)、FCI(最大圧力・温度)、MCCI(コンクリート侵食量)のいずれも判断基準を満足することを確認しました。 * 燃料プール対策(想定事故1, 2): * 想定事故1(冷却・注水機能喪失):燃料プール代替注水系(可搬ホースまたは常設配管/ポンプ)による注水で対応します。 * 想定事故2(配管破断による漏洩):サイフォンブレーク口により漏洩は停止。その後、想定事故1と同様に代替注水系で対応します。 * 評価結果:いずれの事故も、有効燃料棒長頂部の冠水維持、遮蔽水位の確保、未臨界の維持が可能であることを確認しました。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): * (特段の指摘事項なし。ただし、今後の事実確認で新たな論点があれば議論する)


4. 重大事故等対処設備(格納容器フィルタベント系、代替循環冷却系、建屋水素対策)

技術的な議論の内容: * 格納容器フィルタベント系(50条等): * ドライウェルまたはサプレッション・チェンバから、地下格納槽に設置したベントフィルタ(放射性ヨウ素除去フィルタ含む)を通して大気へ放出する設計です。 * 系統内の可燃性ガス(水素)爆発防止のため、待機時・停止後は窒素による不活性化を行います。 * 浜岡の設計(隔離弁構成の違い)では、ベントラインの枝管の長さが短く数も少ないため、ガイドラインに基づく評価の結果、水素バイパスラインは不要と判断しました。 * 隔離弁は、遠隔手動操作装置による人力操作も可能とし、操作場所(原子炉建屋補機室)での被ばく線量も約9.9ミリシーベルト(最大)と評価されました。 * 格納容器代替循環冷却系(50条): * サプレッション・チェンバを水源とし、RPVへの注水及び格納容器へのスプレーを行います。フィルタベント系より優先して使用する運用です。 * 建屋水素対策(53条): * 原子炉建屋等の水素爆発防止のため、格納容器フィルタベント系(漏洩抑制)、静的触媒式水素再結合器(PAR、27個設置)、非常用ガス処理系(SGTS)、水素濃度監視設備を設置します。 * PARの設計では、ドライウェル主フランジからの全量漏洩を想定し、必要個数23.3個に対し余裕(27個)を持たせています。有効性評価条件(仮想階からの漏洩)でも可燃限界(4%)未満を維持できることを確認しました。 * SGTSは、原子炉室内水素濃度が2.7%に到達した場合は、系統内爆発防止のため停止する運用です。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): 1. ベントフィルタ格納槽の火災感知器の設計妥当性(41条関連): * 事業者は、ベントフィルタ格納槽は可燃物がなく火災のおそれが考えにくいため、火災感知器を設置しない設計としています。 * しかし、先行BWR(ベントフィルタを個別に格納するタイプ)では感知器を設置している実績があります。 * 排水移送ポンプ(キャンドポンプで水潤滑と説明)や制御盤等の有無も含め、発火源の有無や可燃物管理の運用を整理し、火災防護第41条の審査において、感知器を設置しない設計の妥当性を説明すること。 2. 建屋水素防護対策(CVベント基準)の不確かさの考慮(53条関連): * 建屋水素濃度が上昇した場合の対策(格納容器ベント実施)の実施基準について、その前提となる水素挙動解析には不確かさが含まれます。 * 先行審査(女川等)では、水素発生量やCV漏洩率等の不確かさを考慮した感度評価を実施しています。 * 浜岡においても、これらの不確かさがCVベント実施基準の妥当性(ベント実施のタイミング等)に与える影響(誘導)について評価・整理し、次回以降の会合で説明すること。 3. (代替循環冷却系) * (特段の指摘事項なし)


5. 説明スケジュール

技術的な議論の内容: * 耐震・耐津波設計の取りまとめ会合を2月→3月に見直し(津波防護施設の回答時期見直し等を反映)。 * 6条(竜巻)に関し、牧之原で発生した竜巻の影響に関する指摘への回答予定時期を新たに設定。 * 37条(津波PRA:確率論的リスク評価)、47条(超過津波)の回答・説明時期をハザード側の状況を踏まえ見直し・設定。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): * (特段の指摘事項なし)


議題2:中国電力(株)島根原子力発電所3号炉の設計基準への適合性及び重大事故等対策について

1. 有効性評価(燃料プール、運転停止中)

技術的な議論の内容: * 燃料プール対策(想定事故1, 2): * 想定事故1(冷却・注水機能喪失):燃料プールスプレー系(48 m3/h)により、事象発生約7.5時間後から注水。 * 想定事故2(配管破断による漏洩):残留熱除去系配管の全周破断(サイフォン現象)を想定。サイフォンブレイク配管により漏洩は停止(通常水位から約0.37m低下)。その後、沸騰開始(約7.2時間後)からスプレー系で注水。 * 評価結果:いずれも、燃料棒有効長頂部の冠水維持、遮蔽水位の確保、未臨界維持を満足することを確認。 * 運転停止中対策(崩壊熱除去機能喪失、全交流電源喪失、冷却剤流出、反応度の誤投入): * 崩壊熱除去機能喪失: 待機中の残留熱除去系(低圧注水モード→停止時冷却モード)により2時間後から注水・除熱。 * 全交流電源喪失: 常設代替交流電源設備により2時間後に受電・注水(残留熱代替除去系)。12時間後に原子炉補機代替冷却系を介した除熱(残留熱除去系)を開始。 * 冷却剤流出: RHR最小流量バイパスラインからのS/Cへの流出(誤操作)を想定。2時間後に系統隔離・注水・除熱。 * 反応度の誤投入: 制御棒1本全引抜き状態から、隣接する制御棒の誤引抜きを想定。起動領域モニタ(SRM)の原子炉周期短信号によりスクラム。投入反応度は1ドル未満。 * 評価結果:いずれも評価項目を満足することを確認。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): * (特段の指摘事項なし。今後の事実確認で新たな論点があれば議論する)


2. 原子炉格納容器の限界温度・圧力に関する評価

技術的な議論の内容: * 重大事故等対策の有効性評価における限界温度・圧力(200℃、2Pd(Pd:最高使用圧力 0.31MPa[gage]))の妥当性について説明されました。 * 評価方法(先行プラント同様):A(試験・解析結果:例 PCVコンクリート部、DW主フランジシール部)、B(設計建設規格準拠:例 DW主フランジ応力)、C(設計建設規格準用:例 配管貫通部スリーブ)のいずれかにより健全性を確認しました。 * 福島第一1号機の知見を踏まえ、溶融炉心落下時に影響を受ける可能性のある配管について、格納容器外へのリークパスが形成されないことを確認しました。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): * (特段の指摘事項なし)


3. 監視測定設備

技術的な議論の内容: * 島根3号炉の監視測定設備は、2号炉と共用であり、同様の設計(2号炉からの変更点はわずか)です。 * 常設モニタリングポスト(6台)は1~3号炉共用。3号炉の非常用電源(非常用DG、ガスタービン発電機)からも給電可能です。 * 可搬式モニタリングポストの代替測定場所について、海側No.2の場所を、3号炉からのプルーム検知を確実にできるよう2号炉申請時から変更しました。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): * (特段の指摘事項なし)


4. 説明スケジュール

技術的な議論の内容: * 前回(10月16日)からの変更点が説明されましたが、いずれもスケジュール調整の範囲内でした。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): * (特段の指摘事項なし)


議題3:電源開発(株) 大間原子力発電所の重大事故等対策について

1. 事故シーケンスグループ及び重要事故シーケンス等の選定(37条)

技術的な議論の内容: * PRAの前提条件: * 内部事象、地震、津波のPRA(確率論的リスク評価、日本原子力学会標準参考)を実施しました。 * AM(アクシデントマネジメント)策及びSA(重大事故等)設備には期待せず、設計基準対象施設のみに期待する条件で評価されました。 * 特に、ECCS(非常用炉心冷却系)手動起動や、復水・給水系による注水(起因事象・手動停止時を除く)に期待しない保守的な条件で評価していると説明されました。 * 炉心損傷防止対策(運転時): * PRAの結果、高圧・低圧注水機能喪失、崩壊熱除去機能喪失、全交流動力電源喪失(SBO)の寄与割合が高い結果となりました。 * (PRAの前提条件が異なるものの)選定された重要事故シーケンスは先行炉と同様でした。 * 地震PRAでは、タービン建屋損傷による原子炉補機冷却系喪失と非常用DG喪失が重畳するSBOシーケンスが抽出されていますが、これに対しては代替残留熱除去系(空冷式)やフィルタベント系等(タービン建屋から独立)で対応可能と説明されました。 * 格納容器破損防止対策(PDS選定): * 大間はRCCV(鉄筋コンクリート製格納容器)のため、「シェルアタック」は発生せず考慮しないとされました。 * AM策に期待しない評価のため、TQUV(過渡事象+高圧・低圧注水機能喪失)や長期TB(長期SBO)の寄与割合が高めに出ているものの、先行炉と同様のPDS(プラント損傷状態)が選定されました。 * 例:過圧・過温破損 → LOCA + SBO * 例:高圧溶融物放出(DCH) → TQUX(過渡事象+高圧注水機能喪失) * 例:MCCI, FCI → TQUV(低圧破損シナリオ) * 例:水素燃焼 → 大破断LOCA + SBO * 運転停止中対策: * 停止時レベル1PRAを実施。外部電源復旧を考慮しないため、SBOの燃料損傷頻度が約99%を占める結果となりましたが、選定された重要事故シーケンス(崩壊熱除去機能喪失、SBO、冷却剤流出、反応度の誤投入)は先行炉と同様でした。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): 1. 地震PRAの再評価と再説明: * 前回(10月28日)の審査会合での指摘の通り、現在の事故シーケンスグループ選定の根拠となっている地震レベル1PRAの評価は、地震ハザード(基準地震動)が確定する前の暫定的なものです。 * 地震ハザードの確定後、地震PRAを再度実施し、その評価結果(炉心損傷頻度等)を踏まえて、事故シーケンスグループの選定結果に影響がないか、あるいは変更があるかを改めて説明すること。 2. (コメント)資料表記の工夫: * 上記1.に関連し、本日の資料(3-1)では、地震PRAの評価結果があたかも確定値であるかのように読めてしまいます。 * 今後、対外的に公開する資料においては、現在評価中あるいは暫定的な値である(=変わりうる)ことが明確に分かるような注記(例:「今後精査」など)を行い、誤解を与えないよう工夫すること。


2. 説明スケジュール

技術的な議論の内容: * 前回(10月28日)の審査会合(地震PRA、津波PRA)の実績を反映しました。 * 48条(最終ヒートシンク)で説明予定だった論点(代替残留熱除去系のエアフィンクーラー採用)は、50条(格納容器過圧破損防止)の審議で説明するよう見直しました。

規制庁からの宿題事項(コメント・指示): * (特段の指摘事項なし)
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