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第3回フュージョン装置の開発を進める事業者等との意見交換会合(令和7年11月14日)

出典 : https://youtube.com/live/uEzF1pySQ1s?si=fm_Gb9ek4-YXHEhh

議題1:事業者において開発中のフュージョン装置の安全確保の基本方針等について

1. 量子科学技術研究開発機構 (QST) (資料1-1:ITERサイズ原型炉)

🚀 技術的な議論の内容

A) トカマク型原型炉の固有の安全性 (止める・冷やす) * 止める: * 核融合反応は、加熱の停止、または燃料供給の停止により、即座に停止する。 * 電源喪失などの異常時には、加熱と燃料供給が自動的に停止するため、核融合反応も自動停止する。原子炉のような連鎖反応や暴走は原理的にない。 * 冷やす: * 原子炉と比較して残留熱(崩壊熱)が小さい。 * 全冷却水が瞬時に喪失する過酷な事象を想定した解析でも、温度上昇は緩やかであり、100日後に最高温度(第一壁で約600℃)に達するが、構造材の健全性は確保される見通し。 * 「止める」「冷やす」機能については、特別な安全設備を必要としない設計思想である。

B) 放射線ハザードとインベントリ (閉じ込める) * 主な放射線源: * 運転中: DT反応による14 MeVの中性子が主。NBI(中性粒子入射加熱)ポート等からのストリーミング(漏洩)が評価点。 * 停止後: 中性子により放射化した機器(ブランケット、ダイバータ等)。 * トリチウムインベントリ: * 運転フェーズ(第1期:パルス~第3期:定常)に応じて増加。 * 第2期 (4時間パルス運転): 合計 約3.2 kg。うち、放散性(事故時に移行しやすい)トリチウムは約2.1 kg (A/D2値: 368)。 * 第3期 (定常運転): 合計 約4.4 kg。うち、放散性トリチウムは約2.2 kg。 * 非放散性トリチウム: QSTは、(1)貯蔵供給系(金属水素化物)、(2)対向壁(材料トラップ)、(3)ホットセル(交換済み機器)のトリチウムを非放散性として扱い、A/D2値の評価対象から除外している。 * 放射性廃棄物 (金属放射化物): * 高レベル放射性廃棄物は発生しないが、低レベル放射化物の量は核分裂炉の数倍多くなる。 * 炉内機器(ブランケット等)は、L2(浅地中ピット処分)の基準(10 μSv/y)を下回る(解析結果: 3.4 μSv/y)見通しであり、浅地中処分が可能と評価。 * 材料: * 第1期はステンレス鋼 (SUS316L) を使用。 * 第2期以降は、放射化を抑えるため、低放射化フェライト鋼 (F82H) の使用を想定。

C) 安全評価 (ハザード評価と事象) * 主なハザード: 可動性のあるソースタームはトリチウムと放射化タングステンダスト。 * 最大のリスク: 発電のため高温高圧の冷却水を使用する。この冷却水配管の破断が最も重要なリスク。 * 事象解析: * 想定される起因事象の多くは「冷却配管破断事象」に帰着する。 * 真空容器内での冷却配管破断: 圧力干渉タンクにより、真空容器の許容耐圧 (0.5 MPa) を下回る (最大0.35 MPa程度) 見通し。 * 真空容器外での冷却配管破断: 多段式の圧力干渉プールを設置し、建屋のブローアウトパネル開放圧 (0.105 MPa) 以下 (0.102 MPa程度) に抑え、環境放出を防止する。 * 閉じ込め設備: * トリチウム除去装置を設置。原理は、触媒でトリチウムガス(HT)等を酸化させ、トリチウム水(HTO)としてモレキュラーシーブで吸着・回収する。

D) 被ばく評価 * 通常時 (公衆): * 年間1 gのトリチウム放出を仮定して解析(ドイツのNOMTRIコードを日本仕様に変更して使用)。 * 評価結果: 1年後で約0.6 μSv/y、40年後(平衡状態)で約10 μSv/y。被ばく経路は「米」の摂取が支配的。 * 通常時 (従事者): * ホットセル等の高線量エリアでの作業は遠隔機器を使用し、従事者は低線量エリア(0.01 mSv/h以下)で操作することを想定。

regulator 規制庁からの宿題事項(コメント・指示)

  • (森下対策官):
    • 閉じ込めの設計思想の整理: 「止める」「冷やす」のリスクは原発より低いが、「閉じ込める」がフュージョン装置の安全機能の要である。トリチウムをどこでどのように抑えようとしているのか(バリアの考え方、深層防護の観点)を、次回以降、明確に示してほしい。
    • 外部ハザード(地震・津波)への考慮: 日本で建設する以上、地震・津波に対する閉じ込め機能の設計思想が重要。サイト選定(立地)の考えも含め、次回以降示してほしい。
  • (神谷氏 - RI部門):
    • QST資料では「建屋が二次閉じ込め」とあるが、クライオスタットは閉じ込めバリアとして期待しないのか?
      • (QST回答): クライオスタットは機器交換用ポートで貫通しているため、閉じ込め機能はないと判断している。
  • (鈴木氏 - RI部門):
    • トリチウムガス(HT)を、より毒性が高いトリチウム水(HTO)に酸化させる除去方法の妥当性は?
      • (QST回答): HTOの方が圧倒的に除去効率が高く(設計値99.99%以上)、毒性の上昇以上にリスク低減効果が見込めるため、標準的な方法である。
  • (大橋氏):
    • 廃棄物が浅地中処分可能との見通しは、今回提示された「ITERサイズ原型炉」に限った話か?
      • (QST回答): その通り。出力や交換頻度によるため、今回のケースでの見通しである。

2. 京都フュージョニアリング (KFE) / Starlight Engine (SLE) (資料1-2:FAST)

🚀 技術的な議論の内容

A) FASTの安全性の特徴 (止める・冷やす・閉じ込める) * 止める: QSTと同様、プラズマ維持条件が失われると自動停止。 * 冷やす: FASTは崩壊熱密度が小さいため、電源喪失時も自然冷却により構造健全性を確保できる見込み。(今後詳細評価予定) * 閉じ込める: 多重の物理的障壁(一次系、二次:グローブボックス、最終:建屋)を設定。トリチウム使用建屋は負圧管理する。 * 放射化機器: FASTは累積損傷量が非常に小さい(0.2 dpa程度)ため、放射化は限定的。運転期間中の機器交換は主に保守システムの検証目的と想定。

B) 放射線ハザードとインベントリ (閉じ込める) * トリチウムインベントリ: * 運転状態(開始時、定常、停止時)で分布が変化。 * 評価: 放散性トリチウムの合計は 450 g 以下 と評価。 * 停止時: 運転中に放散性であった450 gは、燃料貯蔵装置に移送され、非放散性(固体金属吸蔵)となる。 * 非放散性トリチウムの考え方 (FAST): 1. 燃料貯蔵装置 (ジルコニウムコバルト合金): * 室温では化学的に安定。離脱には「350℃以上の加熱」と「真空引き」が同時に必要。 * 異常時(地震等)にはヒーター電源は遮断。グローブボックス(不活性ガス)内に設置するため燃焼も考えにくく、放散性リスクは極めて低い。 2. プラズマ対向壁 (タングステン): * 材料中に蓄積されるが、離脱には高温(500℃程度)が必要。 * 解析(TMAPコード)で蓄積量は10 g以下と試算(保守的に100 g以下と評価)。高温にならなければ放出されず、非放散性。 * ダスト: * プラズマ対向壁にはタングステンを使用。炭素材に比べダスト発生量が2桁以上小さく(JET実績)、発生は抑制される方針。

C) 安全評価基準と施設カテゴリ * 安全評価基準 (FASTの当面の目安): * 平時 (敷地境界): 1 mSv/y * 事故時 (事業所境界): 1 mSv/事象 (安全対策の妥当性評価の目安として設定) * 施設カテゴリ (IAEA基準): * 放散性トリチウム 450 g (A/D2値 換算で約80)。 * IAEA基準に基づき、敷地 の緊急防護対策が不要な「カテゴリ3」に該当すると評価。

regulator 規制庁からの宿題事項(コメント・指示)

  • (森下対策官):
    • QSTと同様に、「閉じ込めの設計思想」および「外部ハザード(地震・津波)への考慮」について、次回以降、考え方を整理して示すこと。
  • (神谷氏 - RI部門):
    • インベントリ評価手法がQST(出力から逆算)とKFE(機器仕様から積算)で異なるように見えるが、保守性は?
      • (KFE/SLE 井野氏): FASTの評価は、積算値(400g弱)に不確かさを考慮し450g以下としており、保守的である。
      • (KFE 小西氏): 出力とインベントリは比例しない。QSTの評価値が大きいのは、リサイクルを考慮せず、長時間運転に必要な燃料を全てバッファタンクに保持する仮定のため。
  • (大橋氏):
    • トリチウム増殖はインベントリ総量にどう影響するか?
      • (KFE/SLE 井野氏): FASTのTBR(トリチウム増殖比)は1を下回るため、増殖によるインベントリ増加はない。

議題2:事業者が計画するフュージョン装置の開発スケジュールについて

🚀 技術的な議論の内容

  • 資料2 (J-Fusion事務局 説明):
    • 第1回会合からの大きな変更はなし。
    • 各社のDT運転(トリチウム使用)の開始時期について、年代を追記。
  • サイト選定の状況:
    • ヘリカルフュージョン: 既にサイト選定プロセスを開始済み(2028~29年頃の決定想定)。
    • KFE/SLE (FAST): 関心を持つ自治体との対話を開始。来年度(2026年度)にはサイトを絞り込むフェーズに進めたい。

regulator 規制庁からの宿題事項(コメント・指示)

  • (森下対策官):
    • 設計変更の可能性: 建設フェーズでも設計変更はあり得るか?
      • (KFE/SLE回答): 新しい設備であり、議論を通じて変更しながら進める。
      • (QST回答): 機器による。コイル等は初期に確定させるが、ブランケット等は建設と並行して開発する。
    • 規制の進め方: スケジュールが各社で異なり、設計変更もあり得るため、規制側も柔軟な対応(コミュニケーションや段階的な考え方の提示)を検討する。

その他

🚀 事業者側からの要望

  • (KFE 小西氏 / J-Fusion代表):
    • 事業者としては、規制の方向性(事業の予見性)が示されることが重要。
    • 今回提示した安全設計の考え方(「止める」「冷やす」は固有に安全、「閉じ込める」が重要)について、おおむね妥当という心証であれば、この方向で対話を継続したい。
    • 考えが根本的に異なる点があれば、早期に指摘してほしい。