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第14回原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会火山部会会合(令和7年11月14日)

出典 : https://youtube.com/live/7xzocQdEk8E?si=0wPgn0K3ITIjnUKx

原子力安全専門審査会・核燃料安全専門審査会 火山部会 第14回会合 議事録メモ

本会合では、発電用原子炉設置者及び核燃料施設事業者(九州電力、日本原燃、リサイクル燃料貯蔵株式会社)が実施した2024年度の火山モニタリング結果に対する原子力規制庁の評価案が審議されました。また、火山事象に関する新たな知見の収集・分析結果についても報告されました。

  • 九州電力のモニタリングでは、姶良(あいら)カルデラで長期にわたり「注意」レベルが継続しているため、詳細観測として実施した水準測量において、2024年度に鉛直変動の停滞あるいは沈降傾向が確認され、その原因検討が事業者への宿題事項となりました。
  • 九州・沖縄電力の監視対象カルデラ火山全体で、監視レベルは平年通り(平常または注意)と評価され、活動状況に変化はないと判断されました。
  • 日本原燃のモニタリングでは、積雪の影響と考えられる一時的な管理基準の超過は確認されたものの、平常時からの変化の判断基準には達しなかったと評価されました。
  • 火山事象に関する新知見として、マグマ噴出量階段図(階段ダイアグラム)に関する論文が報告され、今後の規制庁としての対応方針が議論されました。
  • 火山モニタリングの定量的な判断基準(クライテリオン)について、現時点では困難であるが、今後も国内外の知見収集により、より良い基準の構築に努める必要性が確認されました。

議題1:発電用原子炉設置者及び核燃料施設事業者の火山モニタリング結果に対する原子力規制庁の評価について

九州電力株式会社(川内原子力発電所及び玄海原子力発電所)

  • 技術的な議論の内容

    • 監視対象火山と評価:
      • 監視対象は、阿蘇カルデラ、加久藤小林(かくとうこばやし)カルデラ、姶良カルデラ、阿多(あた)カルデラ、鬼界(きかい)カルデラの5つのカルデラ火山。
      • 評価期間は2024年度(2000年からの25年間分のデータを使用)。
      • 姶良カルデラ以外の4カルデラについては、活動状況に変化はなく監視レベルは平常と評価。
      • 姶良カルデラについては、長期的なマグマ供給を示唆する地殻変動(1年間のマグマ供給率0.01立方キロメートル/年)が認められるため、監視レベルは平年通り注意と評価された。
    • 姶良カルデラ詳細観測(水準測量):
      • 長期にわたり監視レベルが中位(注意)であるため、GNSS(全地球衛星測位システム)よりも高精度な鉛直変動量を取得するため、水準測量を詳細観測の一環として実施している。
      • 水準測量の結果、2016年からの累積鉛直変動量は2023年度までは増加傾向にあったが、2024年度は停滞あるいは沈降の傾向を示した。桜島島内でも同様の傾向が見られた。
    • 加久藤小林カルデラと霧島火山群:
      • 過去に指摘された霧島火山群の活動注視のコメントに対し、霧島火山群の活動にセンシティブな基線(GNSSの観測基線)を含む基線長変化を確認している。
      • 2024年半ばからの基線長の伸びは、同年8月8日の日向灘地震の影響によるものであると説明された。
    • 阿多カルデラ地下構造解析:
      • 過去のコメントを踏まえ、阿多カルデラ周辺で鹿児島大学等と共同で地震観測を実施中であり、その結果を用いた地震波トモグラフィー解析の予備結果が学会(JPGU 2025)で発表されている。
  • 規制庁からの宿題事項(コメント・指示)

    • 姶良カルデラの沈降傾向の原因検討: 2024年度に確認された鉛直変動の停滞・沈降傾向について、当該年度の噴出物量との比較を含め、その原因を検討すること(7月の面談にて指示)。
    • 阿多カルデラ解析結果の報告書記載: 地震波トモグラフィー解析の結果は、論文化された際には、モニタリング報告書に記載すること(7月の面談にて指示)。
    • 基線長変化の図の改善: 霧島火山群関連の基線長変化を示す図について、縦軸のスケールが大きすぎて変化が見にくいため、よりはっきりわかるように図のプロットを改善すること(上田委員からの指摘、事務局が来年以降の対応を了承)。

日本原燃株式会社(再処理施設及び廃棄物管理施設)

  • 技術的な議論の内容
    • 恐山火山周辺の基線長変化:
      • 恐山火山近傍のGNSS連続観測点の基線(基線①、基線③)で、2024年12月中旬に積雪の影響と考えられる7日間連続での管理基準の超過があった。
      • しかし、他の基線では超過がなく、また超過した基線も他の時期に継続性が認められなかったため、平常時からの変化の判断基準には達しなかったと評価された。
    • 十和田カルデラ周辺の基線長変化:
      • 十和田カルデラに関連する基線長変化において、緩やかな伸びや縮みが継続している傾向が見られるが、これは2011年の東北地方太平洋沖地震時の変動とその後の地殻変動に伴う結果と考えられ、異常な変化ではないと評価された。
  • 規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
    • 基線長変化の図の改善: 十和田カルデラ関連の基線長変化を示す図(図15)について、縦軸の幅が広すぎて見にくいこと、また評価文での言及が不十分であるとの指摘があり、図のプロットを改善すること(上田委員からの指摘、九州電力への指摘と同様)。

リサイクル燃料貯蔵株式会社(リサイクル燃料備蓄センター)

  • 技術的な議論の内容
    • 火砕物層厚の想定: 設置許可審査の段階で、過去のマグマ噴火に伴う火砕物密度流が敷地に到達している事実を確認し、最大噴出量(MVE: Maximum Volcanic Eruption)の火砕物層厚が敷地でどれくらいになるかをシミュレーションにより推定し審査している。
  • 規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
    • 特になし。

議題2:火山事象に関する知見等に係る情報の収集・分析結果を踏まえた原子力規制委員会の対応状況について

  • 技術的な議論の内容

    • 新知見の収集・分析(スクリーニング):
      • 我が国の原子力サイトの安全性評価に影響を与えると考えられる情報を、外部リソースを活用して体系的に収集・分析し、定期的にスクリーニングを行っている。
      • 2024年度のスクリーニング結果として、マグマ噴出量階段図(階段ダイアグラム)の標準的な作成手法の提案と臼山での作成例に関する論文(中川、長谷川先生ら共著)が紹介された。
      • 階段ダイアグラムは、火山の活動履歴を、横軸に時間、縦軸に累積噴出量を与えることで、マグマ供給量の変化や活動間隔等を視覚的に表現する図である。
    • 規制庁の対応方針:
      • 原子力規制庁は、階段ダイアグラムの構成の高度化及び作成手順の標準化を推進しており、本論文の取扱いを含め、火山調査研究推進本部(火調本部)の動向を注視していく方針である。
    • 技術情報検討会での議論:
      • 山岡規制委員より、当該情報(階段ダイアグラム)について、その作成に必要なデータベースをセットで公表することを推奨しているとの指摘があった。
  • 規制庁からの宿題事項(コメント・指示)

    • 特になし。

議題3:その他

  • 技術的な議論の内容

    • 火山モニタリングの定量的な基準(クライテリオン):
      • 高橋委員から、火山モニタリングの中長期的な見通しについて質問があった。
      • 委員から、現在のモニタリングにおける定量的な基準が曖昧であるとの問題意識が共有された。
      • 規制庁側からは、データが増えてくれば定量化は可能となるだろうが、現時点では困難であるとの見解が示され、今後は国内外の知見や議論を深め、より良い判断基準の構築に努める必要性が認識された。
    • リサイクル燃料貯蔵株式会社施設の視察:
      • 長谷川委員より、新たにモニタリング対象となったリサイクル燃料貯蔵株式会社(RFS)の施設の視察機会を設ける提案があった。
  • 規制庁からの宿題事項(コメント・指示)

    • リサイクル燃料貯蔵株式会社施設の視察調整: 原子力規制庁は、事業者(リサイクル燃料貯蔵株式会社)との調整を行い、視察の機会を設けたいと回答した。