第562回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合 (令和7年11月14日)
出典 : https://youtube.com/live/9YnP-zKTRzk?si=BVixYCt_5kedVuEK
議題:日本原燃株式会社再処理施設及び廃棄物管理施設の設計及び工事の計画の認可申請について
耐震設計
技術的な議論の内容
- 入力地震動の策定(資料1-01):
- 事業者は、第520回審査会合以降、未使用であったデータ(全694孔のうち96孔のデータ)を追加し、保有する全てのデータに立ち返って地盤モデルを再構築し、入力地震動を再算定した。
- その結果、中央①エリア(AB建屋)、中央②エリア(AE建屋)、西側①エリア(EB建屋)、東側③エリア(AZ建屋)など主要な建屋において、データ追加前後の伝達関数、応答スペクトル、時刻歴波形に大きな差は見られなかった。
- 上記建屋については、地震応答解析や部材評価の結果は変わらないため、再評価は実施しない方針が示された。他の建屋については、地盤物性のばらつきケースの確認を含め、今後の対応を検討する。
- 配管系の設計プロセス(資料1-02):
- 多質点系はりモデルで評価する配管系について、曲がり部や穴(サイフォンブレーカー設置部など)の「応力集中」を考慮するプロセスが示された。
- JAEG 4601およびJSMEに基づき、応力係数を設定して評価する。応力係数は、標準形状はJSMEの計算式を、それ以外は解析(穴あり/穴なしモデルの応力比較など)を用いて設定する。
- 建物・構築物(堂々)の設計(資料1-02):
- FEMモデルで評価する堂々(地中コンクリート構造物)について、前回のAT06(単純形状)に続き、今回は複雑形状の代表としてTXY系堂々(特にty20ブロック4)の設計結果が示された。
- 施工目地でブロック分けされた複雑な形状に対し、3次元モデルでの部材評価、評価対象ブロックの選定プロセス、および解析用物性値(基本地盤モデルエリア外の「西側地盤南方」のデータ設定方法を含む)が説明された。
- 評価の結果、最も厳しいケースでも部材応力は許容限界を下回り、要求機能を満足することを確認した。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 入力地震動について:
- データ追加による再評価のプロセスは了承する。
- (宿題)今後、敷地内で新たな地盤データを取得し、それが今回の地盤モデルを否定する(見直すべき)内容を含む場合は、科学的知見に基づき、事業者として自発的に地盤モデルの見直しを検討し、適切に対処すること。
- 配管系の設計プロセスについて:
- 応力集中を考慮する設計プロセスに特段の論点はない。
- (宿題)今回示したプロセスに基づき、代表施設の個別の設計結果(図面等を含む)を引き続き準備し、説明すること。
- (宿題)「加振試験」を用いて設計する配管系(消火配管など)については、まだ設計プロセスが見直し中であるため、引き続き再整理と説明準備を進めること。
- 堂々の設計について:
- TXY系堂々の評価結果に特段の論点はない。
- (宿題)評価結果において、液状化の影響が小さいSSC1波の方が、液状化が顕著なSSA波(S8)よりも厳しい結果(土圧増大)となっている。これは一般的な傾向と異なるため、周辺地盤、構造物形状、地震波の特性など、どのようなメカニズムでこの結果になったのかを考察し、補足説明資料として提出すること。
- 全般:
- 全体として大きな論点はなかったが、各指摘事項に対応すること。
- (宿題)まだ説明が必要な施設(他の代表施設)の耐震評価結果が多数残っているため、引き続き計画的に準備を進めること。
耐震設計以外の設計
航空機墜落火災(輻射影響)
- 技術的な議論の内容(資料3):
- 実用炉(1.6kW/m²)と異なり、再処理施設は許可時の審査方針(直火評価)が前提。
- 建屋外壁: 温度上昇(外壁5cmは強度なしと仮定、コンクリート許容200℃)を考慮しても、建物全体が構造強度を確保する設計とする。
- 屋内設備(機能維持): 建屋内設備を輻射熱から防護するため、開口部(扉、フード等)から1mの位置で1.6kW/m²以下となるよう、必要に応じ断熱材等で設計する。
- 冷却機能の維持: 冷却塔などは、構造強度確保に加え、冷却水が最高使用温度以下に収まるなど、機能も維持できる設計とする。
- 波及的影響の防止: 飛散物防護ネット等が火災により脱落・飛散し、冷却塔等に波及的影響を与えないよう、ネット自体も構造強度を確保する設計とする。
- 系統分離: ガラス固化体冷却系など、同時に機能が損なわれないよう分離する設備は、輻射強度が1.6kW/m²以下となる離隔距離を確保する。
- 規制庁からの宿題事項(コメント・指示):
- 許可方針(直火)に基づくため、実用炉の例が参考にならず設計プロセスの整理に時間を要したと認識。
- 提示された設計プロセス(建屋強度、屋内1.6kW/m²、機能維持、分離)について、現時点で特段の論点はない。
- (宿題)今後、この設計プロセスに従った「具体的な設計結果」を説明すること。
没水(溢水)
- 技術的な議論の内容(資料4):
- (従来方針から大きく変更)再処理施設は水の使用量が多く、地震時には多数箇所で同時発生の恐れがあるため、以下の新方針で検討された。
- 溢水量の最小化: 可能な限り溢水量を減らす。
- 溢水範囲の限定化: 漏れた水が広がる範囲を限定する。
- 具体的な対策:
- 最小化:740の機器と2066の配管を耐震化(耐震設計へインプット)。12箇所の緊急遮断弁(地震検知で自動閉止)の設置。運用変更(保有量低減、弁閉止)。
- 限定化:堰(せき)、扉付き堰の設置。床・壁の貫通部(配管、床ドレン)の止水対策(モルタル、シール材、逆止弁)。
- 検討プロセス: 設計図書に加え、現場ウォークダウンを徹底的に行い、全ての貫通部や床上の機器占有面積を実測。2000枚を超える「溢水源リスト」と約2000室の「部屋リスト」を作成し、対策を立案。
- 防護対象設備の設計: 没水エリアに設置される設備は、ピーク水位に対し機能喪失高さを確保する(高さで防護)か、カバー設置や溶接構造等で対応する(構造で防護)。
- (従来方針から大きく変更)再処理施設は水の使用量が多く、地震時には多数箇所で同時発生の恐れがあるため、以下の新方針で検討された。
- 規制庁からの宿題事項(コメント・指示):
- 検討に時間はかかったが、「最小化・限定化」への方針転換は高く評価する。従来方針(建屋下層がメートル単位で水没)に比べ、重大事故時のアクセスルート確保などにも有益である。
- 現場ウォークダウンが、当初の「散歩」から「目的を持った確認」に変わり、設計の確実性が高まった点も評価する。
- (宿題)今回説明があったのは「地震起因の没水」のみ。残りの「被水(スプレイ)」「蒸気」「化学薬品の漏えい」についても、今回と同様の厳格なプロセス(特に化学薬品)で検討を進めること。
- (宿題)最終的な設計(例:堰の高さ)は、消火水など他の要因も全て考慮した上で決定されるものとして、引き続き全体を整理・説明すること。
電磁的障害(EMI)
- 技術的な議論の内容(資料5):
- 放射ノイズ対策: 制御回路は金属製筐体に収納し接地。計装用ケーブルはシールド(金属製)し接地。ケーブル(電源、制御、計装)は種別ごとに金属トレイ・電線管に分離し、トレイ等も接地。
- 伝導ノイズ対策: 微弱信号を扱う回路の電源ラインにノイズカットトランス等を設置。
- 代表施設の設計結果(写真、図面)が示された。
- 規制庁からの宿題事項(コメント・指示):
- 設計プロセスおよび代表施設の設計結果について、現時点で特段の論点はない。
- (宿題)代表施設以外の評価結果を取りまとめ、補足説明資料などで詳細を整理すること。
全体計画
技術的な議論の内容
- (事業者より)あと3回程度の審査会合で設計プロセスの説明を終えたい。
- 溢水: 本日説明した「地震起因の没水」の検討手法(ウォークダウン等)を、残りの「被水」「蒸気」「化学薬品」にも適用し、説明を加速させたい。
- 可搬型SA: 設備(ホース、ケーブル等)の物量が非常に多いため、保管場所の適正化(ハザードを考慮し屋内化、コンパクト化、PALS管理)に時間を要している。準備ができ次第説明する。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 審査遅延の原因分析(規制庁側):
- ヒアリングでの準備不足: 事業者の説明担当者が、自設備の設計根拠を即答できないなど、準備が不足している場面が散見される。
- 資料の品質: 説明資料の品質にばらつき(用語の不統一、構成の悪さ)があり、審査官の負担になっている。
- コミュニケーション不足(最大の原因): 規制庁の指摘の「意図」が事業者に伝わっていないままヒアリングが終了し、認識のズレが生じている。
- 設計プロセスについて:
- (宿題)スケジュールありきではなく、内容の充実が最優先である。
- 今回の溢水のように「設計プロセス」をしっかり示すことが、作業の折り返し地点であり、その後の見通しを立てるために極めて重要。残りの項目(化学薬品、可搬型SA保管場所など)についても、まずは設計プロセスをしっかりと説明すること。
- コミュニケーションについて:
- (宿題)規制庁と事業者は「安全を高める」という共通のゴールを目指している。事業者はヒアリングの場で疑問点を遠慮なく質問し、指摘の意図を正確に把握して持ち帰ること(ステアリングチームが確認を徹底すること)。
- 資料・説明品質について:
- (宿題)資料品質や説明能力の向上は、規制庁のためではなく、事業者の将来の財産(技術伝承、教育資料、安全・安定創業の基盤)になる。
- (事業者側回答)指摘を認識している。今後、ヒアリングでの確認を徹底し、幹部会議で振り返る。資料品質については、設計結果(丸二誤発)の説明用に「ひな形」を作成するなど、均一化を図る。
- MOX燃料加工施設について:
- (宿題)今回説明がなかったが、MOX施設についても計画的に審査会合で説明すること。