第42回原子力規制委員会臨時会議(令和7年11月19日)
出典 : https://youtube.com/live/5Xp54-IjbcY?si=HAdqhc1xOOOCUuAf
会議内容の概要
原子力規制委員会と九州電力株式会社経営層による意見交換 概要
- カーボンマイナスへの貢献と設備利用率向上: 九州電力(九電)は、九電グループ経営ビジョン2035に基づき、原子力事業のありたい姿を「カーボンマイナスへの確かな貢献」と定め、2031年度から2035年度で平均90%以上の設備利用率を目指す方針を示しました。
- 安全性向上の技術的取り組み: 確率論的リスク評価(PRA: Probabilistic Risk Assessment) を積極的に活用し、非常用炉心冷却設備(ECCS: Emergency Core Cooling System)の水源切り替え操作の自動化設備導入など、実質的な設備改造を検討・実施しています。
- 人的資本経営とDX推進: 人材を経営の資本とする「人的資本経営」を推進し、安全教育施設の設置や、ドローン活用、教育動画共有プラットフォームなどのDX(デジタルトランスフォーメーション) を導入して技術継承と業務効率化を図っています。
- 規制庁からの意見交換事項: 規制庁からは、火山モニタリングの技術的課題に関する意見交換の要請、次世代革新炉・SMR(Small Modular Reactor) などの基準策定における合理性の確保に関する要望への応答、防災における屋内退避の有効性に関する住民への啓蒙活動の徹底などが求められました。
議題1:九州電力グループの経営ビジョンと原子力事業のありたい姿
-
技術的な議論の内容
- 2035年のありたい姿として「エネルギーから未来を開く、九州と共に、そして世界へ」を掲げている。
- 6つの重点戦略のうち、「カーボンマイナスへの挑戦」と「価値創出に向けた人的資本経営」が原子力事業と関わりが深い。
- 原子力事業のありたい姿は「カーボンマイナスへの確かな貢献」である。
- 九州では再生可能エネルギー(再エネ)導入拡大と原子力の安定運転継続により、全国的に見ても低炭素化が大きく進展している。
-
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 特になし。
議題2:安全・安定運転の継続と設備利用率向上への取り組み
-
技術的な議論の内容
- 川内(せんだい)1・2号機、玄海3・4号機は大きなトラブルなく安全・安定運転を継続している。
- 今後も安定運転の継続を大前提とし、設備利用率をさらに向上させ、原子力の価値を最大限発揮する。
- 2031年度から2035年度にかけて、平均90%以上の設備利用率を目指す。
- 運用面: 経営トップをトップとする品質マネジメントシステムのもと、実質的に、そして継続的にパフォーマンスを向上させる仕組みを構築している。
- リスク情報活用: 安全性向上評価において確率論的リスク評価(PRA) を積極的に活用し、実質的な設備改造を検討している。
- 設備改造例: 非常用炉心冷却設備(ECCS)の水源切り替え操作について、人による操作ではなく自動化設備を導入する予定である。
- 自然ハザードへの対応: 自主的に情報を収集し、最新知見や事象、社内外の意見を踏まえて、さらなる安全性向上のための自主的な対策を講じる。
-
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 火山モニタリング: カルデラの地下構造の継続的なモニタリングや、その変化の捉え方・解釈が課題として大きいとの九電側の問題意識に対し、規制庁としても検討を進めていく意向を示した。
- 新規制基準: 次世代革新炉やSMR(Small Modular Reactor)、高速炉などの基準策定について、安全性向上を前提としつつ、確率論的リスク評価(PRA) 的な部分も考慮した合理的な基準を作ってほしいとの九電からの要望があった。
議題3:防災・核セキュリティ・廃止措置への取り組み
-
技術的な議論の内容
- 防災: 緊急時の対応能力維持・向上のため、定期的な防災訓練を実施し、365日24時間体制を維持している。
- 核セキュリティ: 経営トップ自ら活動指針を発信し、核物質防護に係る法令遵守と核セキュリティ文化醸成を図っている。
- 玄海構内事象の対応: 通報連絡の改善、飛行隊等飛来時の対応、監視機能の強化などに努めている。
- 玄海1・2号機廃止措置: 第1段階は順調で、2026年度から第2段階に移行する見込み。第2段階に関する廃止措置計画変更認可申請を審査中である。
-
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 核セキュリティ: 核物質防護措置の重要性について、社内において認識を共有し、徹底するよう指示。
- 防災対応・住民の理解: 原子力災害特有の放射線防護の問題について、地元住民に近しい事業者として、自治体と連携し、屋内退避がなぜ必要で有効なのかという点について啓蒙活動を行うよう指示。
議題4:DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と人的資本経営
-
技術的な議論の内容
- DX推進: 経済産業省のDX注目企業2025に電力会社で唯一選出された。原子力部門でも安全・安定運転の高度化、技術継承、作業安全確保に向けてDXを推進。
- DX事例: ドローンを活用した設備点検とタブレット導入の検証、教育動画共有プラットフォームの導入によるベテラン技術者のノウハウの見える化と技術継承を推進。
- 人的資本経営: 九電トランスフォーメーション(QX)プロジェクトを中核に推進。
- 安全への取り組み: 安全教育施設「安全未来館」を設置。他業種(日本航空、JR東日本など)の安全に関する事例調査も行う。
- 技術継承・人材育成: 協力会社への教育出向やマイスター制度の導入により技術継承に努めている。
- 海外知見の獲得: イギリスのヒンクレーポイントやアメリカのボーグルなど、新しい技術・運用を学ぶため、原子力部門の人間を派遣している。
-
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 人材の多様性: 地元出身者が多いという強みを認めつつも、国際的な視点や多様な知見を持つ人材の登用・育成についても期待が示された。
- 技術系人材の確保: 規制庁側も技術系人材確保の課題を認識しており、大学との連携による人材育成支援を行っている。
議題5:地域との良好な関係性の継続的な構築
-
技術的な議論の内容
- 地域共生活動: 「人と自然と創る未来」をスローガンにグループ一体で活動を展開している。
- 対話活動の拠点: 玄海・川内地域に原子力総合事務所を設置し、地元議会での丁寧な説明や訪問活動(フェイス・トゥ・フェイス)など、双方向のコミュニケーション活動を展開している。
- 災害時支援: 要支援者避難のための福祉車両手配、避難所への生活物資供給、町道・市道の改善支援など、住民の安全・安心を最優先とした様々な支援を実施している。
-
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 特になし。