第14回クリアランスに関する審査会合(令和7年11月25日)
出典 : https://youtube.com/live/gybA_mIW3po?si=UrKheQpUSWqCmkDb
会議内容の概要
- 本会合は、日本原子力発電株式会社(日本原電)敦賀発電所1号炉の水圧制御ユニットアキュムレーター(HCUアキュムレーター)シリンダー部(36体、約3トン)を対象としたクリアランス認可申請(補正)について、その測定・評価方法の妥当性を審査した。
- 評価対象核種は、放射化汚染の影響が極めてわずかであることから、二次的な汚染を対象に選定され、外面はコバルト60(Co-60)、セシウム137(Cs-137)、ユーロピウム152(Eu-152)、全アルファ核種、内面はコバルト60(Co-60)が選ばれた。
- 外面のガンマ線放出核種の放射能濃度評価については、セシウム137の放射能換算係数が他の核種より大きく保守的であるため、セシウム137で代表評価することが妥当と判断された。
- 規制庁からは、内面汚染における核分裂生成物(FP)核種の影響の低減メカニズム、ヨウ素131(I-131)の挙動の背景、評価対象核種からの除外理由(特に鉄55)、核種組成比設定の表現など、申請書の記載の適正化に関する複数の指示が出された。
- 特に、全アルファ核種の核種組成比の設定における「おおむね均一」という表現は、分析結果との乖離から保守的な設定であることを明確に示すよう修正が求められた。
議題1:日本原子力発電株式会社 敦賀発電所1号炉において用いた資材等に含まれる放射性物質の放射能濃度の測定及び評価方法に係る認可申請について
技術的な議論の内容
- 対象物と経緯
- 今回の申請対象物は、原子炉施設の制御材駆動設備である水圧制御ユニットアキュムレーター(HCUアキュムレーター)のシリンダー部36体(約3トン、材質は金属)である。
- 当初2016年9月に申請された約2900トンの廃棄物から、審査基準制定(2019年9月)後の再選定により、対象物がHCUアキュムレーターに絞り込まれた。
- 再選定の過程で、窒素ボンベ(N2ボンベ)は表面にセシウム137が検出されたため対象から除外され、アキュムレーターはコバルト60(Co-60)濃度が基準値の33分の1を超えたため除染が必要と判断された。
- 汚染の想定
- 放射化汚染:コバルト60(Co-60)の放射能濃度がクリアランス基準の100%となり、その影響は極めてわずかと判断された。
- 二次的な汚染:敦賀1号炉は運転初期に燃料破損を経験しているため、腐食生成物(CP)核種に加え、核分裂生成物(FP)核種による影響を考慮した。
- 内面:常時系統水(復水)に接液していたため、CP核種(コバルト60)が主要な汚染と想定。汚染状況調査の結果は全て検出限界値未満であった。
- 外面:FP核種の代表であるセシウム137(Cs-137)が検出されたため、外面汚染の主要核種と判断された。
- フォールアウトの影響:調査の結果、全て理論検出限界係数率未満であることを確認し、影響はないと判断された。
- 評価対象核種の選定
- 放射化汚染の影響がわずかなため、二次的な汚染を対象に審査基準33核種から選定した。
- 汚染履歴や冷却期間の違いを考慮し、3つのカテゴリー(外面FP核種、内面CP核種、外面CP核種)に分類して、燃焼計算・放射化計算を実施。
- 選定核種:
- 外面:コバルト60、セシウム137、ユーロピウム152(Eu-152)、全アルファ核種。
- 内面:コバルト60。
- トリチウムは分析結果から影響を無視できると判断し除外。
- 計算条件の考慮事項:外面CP核種(カテゴリー3)の評価では、敦賀1号炉に復水脱塩装置が設置されていないため、炭素鋼(炭素鋼)由来の不純物が原子炉に持ち込まれる影響を無視できないとし、炭素鋼も想定した。この結果、冷却期間が長くなるとユーロピウム152が評価対象核種として選択された。
- 放射能濃度の決定方法
- 全アルファ核種:セシウム137を基準核種とする核種組成比法により評価。過去のサンプル分析結果に基づき、核種組成比は保守的に6.1に設定された。
- 外面ガンマ線放出核種:評価対象核種(コバルト60、セシウム137、ユーロピウム152)のうち、セシウム137の放射能換算係数が最も大きく、クリアランスレベルも同一であるため、測定したガンマ線の全量をセシウム137の寄与として評価することで、常に保守的に評価できると判断した。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 内面汚染における核分裂生成物(FP)核種影響の記載の適正化
- アキュムレーターの内面汚染について、過去の燃料破損で発生したFP核種の影響が、定期検査ごとの充填水の入れ替えにより低減されるという考えを申請書に明記し、その記述を適正化すること。
- ヨウ素131(I-131)の挙動と水質管理改善の経緯の補足
- 燃料破損時のヨウ素131の炉水中の放射能濃度の推移について、燃料破損時に微量のウランが炉水中に放出し、その残存ウランの核分裂によりヨウ素が検出されたが、その後時間とともに低下し定常状態に至った経緯について、根拠となる情報を含めて申請書に記載し、補正で適正化すること。
- 内面汚染(腐食生成物(CP)核種)の生成時期の正確な記載
- 内面汚染のCP核種の生成時期について、「原子炉停止直前までクラッド(Crud)が放射化したものが原子炉停止直前に放出して内面に付着した」というスキームが正確に伝わるよう、クラッドの滞留時間と中性子照射の経緯を見越した表現に修正し、補正で適正化すること。
- 放射化汚染における窒素17(N-17)に起因する中性子源の記載の適正化
- 窒素17に起因する中性子源の書き方について、申請書の記載を見直し、適正化すること。
- 鉄55(Fe-55)の評価対象核種除外理由の整合性確保
- 鉄55の評価対象核種からの除外理由について、「物性値を考慮すると相対重要度が小さい」という表現を、従来の審査実績に基づく「半減期、中性子捕獲断面積、クリアランスレベルの3つから相対重要度が低い」という表現に申請書内で統一し、整合性を確保すること。
- 全アルファ核種の核種組成比設定に関する表現の修正
- 「プラント全体で核種組成比はおおむね均一」という表現は、実際の分析結果と設定値との比較から正確ではないため、「素製品については保守的になるように設定した」という、設定の意図を明確に示す表現に修正すること。
- 内面汚染の表面汚染密度測定における信号処理系の記載追加
- 内面汚染の表面汚染密度測定に用いたプラスチックシンチレーション検出器の信号処理系の構成や、出力をどのように増倍しているかなどの記載が不足しているため、これらを申請書に追加し、補正で対応すること。
- 品質管理の表現の修正
- 「厳格な品質管理を行う」という表現について、品質マネジメントシステム(QMS)自体に変更はないことから、「厳格に品質管理を行う」または「品質管理が厳格に実施される」といった、QMSの厳格な適用を示す表現に修正すること。