第4回リスク情報活用に関する事業者との実務レベルの技術的意見交換会(令和7年11月26日)
出典 : https://youtube.com/live/ZnM-NNDd6eU?si=JzlyKbL49gTX-IC_
会議内容の概要
- PRA(確率論的リスク評価)モデルの適切性確認の効率化: 検査に用いるPRAモデルの受領時期をガイドに明記すること、更新モデルの確認方法を簡素化することなどにより、審査時間を短縮し、効率化を図る方針が示されました。
- 不確かさ(Uncertainty)の取扱いに関する認識共有: PRAの不確かさは、単なる信頼性の問題ではなく、リスクを判断するための重要な情報であるという認識を規制庁と事業者側で共有し、実務で点推定値と共に提示する方針が確認されました。
- リスク情報共有の課題: 規制庁のリスクブックが現場で十分に活用されていない現状を共有し、リスクブックのコンテンツに外部事象や火災PRA(確率論的リスク評価)の情報など、より価値のある情報を加える必要性が指摘されました。
- 中長期的課題の分離: 機器故障率など、複数のプラントで共通するPRAの基本的な論点や中長期的な課題については、個別のモデル適切性確認ではなく、本会合や学会などの議論の場に委ねていくことが提案されました。
議題1:第3回意見交換会(9月26日実施)の概要(資料1)
技術的な議論の内容
- リスク情報活用の進め方(スコープ):
- リスク情報活用のアプリケーション(適用分野)は1つずつ直列に検討する。
- スコープ1(運転中保全、基盤的課題など)からスコープ3の順番で進める。
- スコープ1はAグループ(運転中保全、基盤的課題など)とBグループ(確率論的破壊力学、火災PRA(確率論的リスク評価)等の活用など)に分かれる。
- 確率論的リスク評価(PRA)モデルの適正性確認:
- モデルの適正性確認に多くの時間を要しており、これが課題となっている。
- 整備中のPRAモデルであっても、活用しながら高度化していくべきである。
- 不確かさの取扱い:
- 最適なものは把握できないため、感度解析等を通じて気づきを得るのがPRA(確率論的リスク評価)の使い方であろう。
- 重要度分類指針の改定:
- 新規プラントにはメリットがあるが、既存プラントに対しては労力とメリットを考慮する必要がある。
- 平成30年の報告にあるように、安全の目標と達成される安全の水準を確率論的評価(確率)だけでは評価・説明できないという点を考慮することが重要である。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 次回会合(第4回)では、基盤的課題(リスクブック、最新モデルの共有方法、モデルの適正性確認の改善など)についてそれぞれ提案すること。
- 重要度分類の見直しについて、学会と相談しながら議論を進めていきたいので、事業者団体(ATENA)に協力をお願いしたい。
議題2:確率論的リスク評価(PRA)に係る基盤的課題(資料2)
技術的な議論の内容
PRAモデルの適切性確認の効率化 * 課題認識: * 検査に用いるPRAモデルを、原子炉起動前など運転開始前に提供いただくことができていない。 * モデルの品質に関する考え方について、事業者や規制側との間で議論に長時間要している。 * 検査過程での事案に対するリスク評価のための時間が不足している。 * プラント間で類似した中長期的な改善箇所などの論点が抽出されることが多い。 * 効率化の提案(規制庁側): * 検査で使うPRAモデルの品質について、現時点では必要な技術水準を明確に整理することは困難である。 * 適切性確認では、詳細な掘り下げよりも、PRAモデルの全体像をざっと把握することに努める。 * 更新モデルの確認は、骨格であるレベル1(炉心損傷頻度)の全体像が把握できていれば、追加された設備などの確認に留める(改めての適切性確認は不要)。 * 機器故障率など、個別の確認になじまない重要な論点は、学会などの他の議論の場に委ねていく。 * 事業者側からの意見: * PRAモデルの品質維持のため、ピアレビュー結果などを活用して議論する形が良いのではないか。 * PRAモデルの適切性確認の効率化のため、ΔCDF(炉心損傷頻度の差分)の大きいところにまず着目し、代表性をもって確認するアプローチは有効である。
不確かさの取扱い * 認識共有の提案(規制庁側): * 現状のPRAモデルは、ASME(米国機械学会)の認定を受けるなど、十分な実用性を有していることを前提とする。 * 不確かさ(Uncertainty)は、PRAの信頼性ではなく、リスクを判断する上でそれ自体が重要なパラメータである。 * 確率論的評価(PRA)のメリットは、決定論的評価では把握しにくい不確かさの影響を定量的に可視化できる点である。 * 実務上の工夫(規制庁側): * 実務的には、点推定値だけではなく不確かさ(Uncertainty)の幅も提示する。 * 得られたリスク情報を有効に活用するため、過度に保守的な評価を避ける努力をする。 * 評価結果への不確かさの影響を知るため、感度解析を活用する。
リスク情報の共有(リスクブック) * 課題認識: * 規制庁が整備しているリスクブックが現場で有効に活用されていない。 * リスクブックの情報が、FV(Fussell-Vesely)重要度やRAW(Risk Achievement Worth)といった指標に留まり、安全重要度分類と変わらず情報としての新しい価値が低い。 * 外部事象や火災PRA(確率論的リスク評価)に関するリスク情報が不足している。 * 規制側(リスクブック)と事業者側(安全性向上評価の届出)で、同じモデルに基づく基本的なリスク情報について、資料を二重に作成するコストがかかっている。 * 今後の対応(規制庁側): * リスクブックの具体的な運用方法、コンテンツ、安全性向上評価への組み込み(ビルトイン)について、6ヶ月程度を目途に規制側と事業者側で議論していく。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- PRAモデルの受領時期の明記: 新規制基準に合格して稼働するプラントについて、原子炉起動前にその時点のPRAモデルを一度受領させてほしい(ガイドに明記すべき)。
- 更新モデルの提供: 更新モデル(安全性向上評価の届出など)については、その届出に合わせて提供いただきたい。
- PRA関連資料の提供継続: 原子力規制検査の重要度評価の際に使用するため、引き続き適切性確認の資料を提供いただきたい。
- 最新PRAモデルの受領: 地震PRA(確率論的リスク評価)やその他の最新のPRAモデルについて、評価経験を蓄積するため、今後1年程度以内を目途に一度受領させていただきたい。
- リスクブックの議論: リスクブックの具体的な運用方法、コンテンツ、安全性向上評価への組み込み(ビルトイン)について、6ヶ月程度を目途に規制側と事業者側で議論してほしい。
- 検査全体の理解: 検査の全体像として、リスク情報だけでなく運転経験などの多角的な情報も考慮していることを理解してほしい。