第18回検査制度に関する意見交換会合(令和7年12月12日)
出典 : https://youtube.com/live/-0OyuKxKGw4?si=2o33pbyLHmtABGFF
会議内容の概要
- 運転中保全(OLM)の実証結果: 伊方発電所での現場実証を通じ、OLMは作業時期の調整容易性などのメリットがある一方で、許容運転時間(AOT)超過リスクへの対応検討(延長議論)が必要な課題が確認された。
- 外的事象PRAの活用: OLM(運転中保全)において、外的事象(地震・津波)の確率論的リスク評価(PRA)を活用したリスク管理措置が適切に実施可能であることが確認され、今後ガイドラインにその内容を反映する計画が示された。
- エンジニアリング検査の有効性: 試運用を通じ、リスク情報に基づき従来対象外だったリスク上重要な安全機能を有する構成要素(SFC)の構成管理や実効性を確認できることが証明され、リスクインフォームド・パフォーマンスベースの検査への改善につながるとされた。
- 安全実績指標(SPI)の今後: 重大事故等対処(SA)に係る安全実績指標の見直しについて、原子力エネルギー協議会(ATENA)は、許容運転条件(LCO)の設定見直し議論が収束した後に深掘りを行う方針を示した。
- 新検査制度の検証開始: 施行から5年が経過したことを捉え、検査制度の鍵となる要素(検査官の力量、リスク情報の活用、検査手数料など)について、事業者側からの率直な意見を募り、検証を進めていく方針が確認された。
議題1:運転中保全の現場実証について
技術的な議論の内容
- 現場実証の実施と結果:
- 伊方発電所(いかたはつでんしょ)にて2回の実証を実施し、2回目では内的事象の確率論的リスク評価(PRA)に加え、外的事象(地震・津波)PRAも活用して評価を行った。
- 運転中保全(OLM)可否のスクリーン基準に対し十分な余裕を持って下回っていること、炉心損傷確率(ICDP)および大規模な早期放出確率(ICFP)が「緑」のリスクレベルであることを確認した。
- 「白」のリスクレベルの場合でも、適切なリスク管理措置ができることを確認した。
- リスク管理処置の対象:
- 冗長設備だけでなく、決定論的(DB)な設備や重大事故等対処(SA)設備など、原子力安全上重要な設備も防護対象として抽出し、防護処置を定めた。
- OLMのメリットと課題(実証を踏まえた検討結果):
- メリット: 定期検査(提検)作業と異なり単独での実施となるため、作業時期の調整が容易である。また、現場作業の少ない運転中に実施するため、他作業と重複しにくい。熱中症などの労働安全リスクを考慮した計画を立てることができる。
- 課題: 運転中保全(OLM)を実施するにあたり、許容運転時間(AOT)超過のリスクがあるため、今後、許容運転時間(AOT)延長も含めた議論が必要である。
- 外的事象PRAの適用:
- 外的事象に対しても定量的に確率論的リスク評価(PRA)を実施し、結果をリスク管理措置に反映することで適切に運転中保全(OLM)が実施できた。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 現状のガイドラインでは、外的事象については定性的に評価することとしているため、外的確率論的リスク評価(PRA)の適用にあたり、内的事象PRAに関する要件を順守した上で、今後ガイドラインの改訂にその内容を反映する計画である。
議題2:品管規則に関する技術的な意見交換の状況等
技術的な議論の内容
- 是正処置プログラム(CAP)プロセスにおけるリスクの考慮:
- 是正処置プログラム(CAP)判断を行う際、発生した事象の大きさだけでなく、リスクも考慮するという認識は事業者も持っているが、具体的な考慮方法のイメージについて認識合わせを行った。
- 是正処置プログラム(CAP)判断における原子力安全、品質が意図するものは、「適切な運転状態の確保」「事故の発生防止」「事故の影響緩和」「不当な放射線リスクの防御」などである。
- 非是正処置プログラム(ノンCAP)事象に対する検査の考え方:
- 原子力規制庁は、非是正処置プログラム(ノンCAP)事象であることについて異論がない場合には、検査において深掘りする必要がないという認識を示した。
- 一方で、顕在化した事象そのものが原子力安全に直接影響を及ぼすものでなかったとしても、その原因系が原子力安全上重要な機器や活動に影響を及ぼす可能性がある場合は、原子力規制庁は検査対象としたいという考えを示した。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 原子力エネルギー協議会(ATENA)として、是正処置プログラム(CAP)判断や非是正処置プログラム(ノンCAP)事象の取り扱いについて、事業者間で議論を深め、まとめられるところがあれば、改めて意見交換を希望する。
議題3:保安規定で定める緊急時対応訓練に係る事業者との意見交換
技術的な議論の内容
- 訓練実施の目標と目的:
- 訓練の目的は、事故に対処することであり、その能力を向上させることである。
- 保安規定に定められた訓練(重大事故等対処(SA)訓練等)の日程調整に関して、原子力エネルギー協議会(ATENA)が抱える懸念点について意見交換を行った。
- 原子力規制庁の監視スコープ:
- 事業者自身が訓練を保安規定通りに実施すること、およびその中から事業者自身がPDCAサイクルを回しながら、拾うべきものを拾って対応しているかという点が原子力規制庁の最後の検査の中での監視スコープである。
- パフォーマンスベースの検査への移行:
- ある程度できている事業者については、評価の仕組みが整っていることを踏まえ、確認の仕方を記録確認などに移行していくという、パフォーマンス(実効性)ベースの考え方が、柔軟な対応として有効であるとの認識が共有された。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 事業者側で訓練の目的(事故対処能力の向上)に資する内容について、柔軟に検討し、原子力エネルギー協議会(ATENA)を通じて各事業者間で議論を進めてほしい。
- 事業者自身で訓練をより充実させていくことで、原子力規制庁の確認の仕方(記録確認などへの移行)がより行いやすくなる。
議題4:エンジニアリング検査試運用の報告と今後の方針について
技術的な議論の内容
- エンジニアリング検査のメリット(試運用結果):
- 確率論的リスク評価(PRA)上重要な安全機能を有する構成要素(SFC)が検査対象として選定でき、従来の決定論的手法では対象にならなかったリスク上重要な設備を検査できた。
- 保安活動を含めた包括的な検査確認により、設計要件、施設構成情報、配置的構成の参照(構成管理)の整合性を確認できた。
- パフォーマンス(実効性)を試行する検査とすることで、他の安全機能を有する構成要素(SFC)に悪影響を与えていないかというところも確認できた。
- リスクインフォームド(リスク情報活用)及びパフォーマンスベース(実効性重視)の検査への改善につながり、事業者の保安活動の改善を促進する。
- 検査ガイドの適用時期と対象:
- 新しいエンジニアリング検査ガイドは、来年度の早い段階から適用していきたい。
- 新検査制度施行前のガイドで削除された、建設段階の施設、廃止措置計画の認可を受けた施設、新規制基準適合前の長期停止施設についても、必要に応じて検査を実施するという旨をエンジニアリング検査の対象にも同様に適用する。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 特になし。
議題5:重大事故等対処に係る安全実績指標の見直し
技術的な議論の内容
- 指標案の提示(原子力規制庁):
- 体制と設備が相まって能力を発揮するという視点に基づき、全体としてのプラントの事故時対応能力に着目した指標案(指標A)が提示された。例えば、新規制基準適合性審査で有効性評価が行われている重大事故等対処(SA)について、その評価条件に欠けが出た場合に1カウントとするイメージなどが考えられる。
- 指標を属性に分解した指標案(指標B1, B2, B3)も示された。B2は許容運転条件(LCO)逸脱を他の指標に変える案、B3は設備に関して階層(第3層と第5層)に分解する案などである。
- 今後の進め方(原子力エネルギー協議会(ATENA)の考え):
- 重大事故等対処(SA)に係る指標は事業者側が検討する指標案を示すが、その先の検討の深掘りについては、現在進行中の許容運転条件(LCO)に係る議論が収束した後に行うのが適切である。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 特になし。
議題6:原子力規制検査制度の鍵となる要素に係る取組状況の検証
技術的な議論の内容
- 新検査制度の法改正の趣旨:
- チェックリストの検査を廃止し、より安全性の確保に関して包括的な監視ができる制度としている。
- 国が主体で行っていた検査の実施主体を事業者とすることで、事業者が自ら検査を実施し、その結果に基づき保安活動を改善する仕組みを導入した。
- 検証の必要性:
- 新検査制度の施行から5年が経過した時期を捉え、施行後の状況や原子力規制庁の取り組み状況について、事業者の立場からの意見を聴取したい。
- 意見を求める具体的な観点:
- 検査制度の鍵となる要素(例えば、検査手数料の見直し、原子力規制検査ガイドの改善、検査官の力量維持・向上、リスク情報の活用等)について、原子力エネルギー協議会(ATENA)を通じて率直な意見を募りたい。
規制庁からの宿題事項(コメント・指示)
- 事業者として、新検査制度の施行後の状況や、原子力規制庁の取り組みについて、具体的な観点(手数料の見直し、ガイドの改善、検査官の力量維持・向上など)に基づいた意見を原子力エネルギー協議会(ATENA)を通じて提出してほしい。
- 原子力規制庁として、書類確認などの手段も活用し、事業者のパフォーマンス(実効性)に応じた確認の仕方に移行できるよう、リソースの問題も含めて具体的な対応を検討する。