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第1379回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合(令和7年12月23日)

出典 : https://youtube.com/live/jmQZXjBchMc?si=6i43kklsokqNJUR3

会議概要

  • 玄海原子力発電所:海域活断層評価の反映に伴う基準津波の再定義と防護妥当性 地震本部による「日本海南西部の海域活断層の長期評価」を受け、基準津波を「福島南西沖断層群と第一五島帯断層帯の連動」に変更。最大水位上昇量は現行の基準津波(約2.4m)から約5.1m(防波堤なしケースで約6.3m)へと大幅に上昇したが、敷地高さ(EL+11m)および既存の防護設備で安全性が維持されることを確認。ただし、北西側地形を障壁とみなす論拠について詳細な立証が求められた。
  • 泊発電所:設工認における大規模工事の境界設定と保安監督の実効性 3号機の工事計画に関し、特に大規模工事(特定重大事故等対処施設等)の範囲と一般工事の境界をどのように明確化し、工事中における保安規定の遵守を担保するかが焦点となった。規制庁は、現場での混乱を防ぐための具体的運用プロセスの提示を求めた。
  • 伊方・女川・東通:標準応答スペクトルの反映と組織ガバナンスの透明化 伊方3号機の標準応答スペクトル反映では、評価対象設備の「抽出漏れ」を防ぐための定量的根拠の整理を指示。女川・東通の組織整備では、原子力部門の統合後も発電所長の権限と責任が形骸化しないよう、意思決定ラインの明文化を求めた。

議題1:九州電力(株)玄海原子力発電所3号炉及び4号炉の設置変更許可申請(日本海南西部の海域活断層の長期評価(第一版)の反映に伴う変更)の審査について

  • 議論の流れと論点: 地震本部(地震調査研究推進本部)が2022年に公表した長期評価を受け、敷地近傍の海域活断層の連動評価を見直した。これにより基準津波の波源モデルが変更され、敷地への影響を再評価することが議論の出発点となった。 最大の争点は、「上昇側津波に対する外郭防護の考え方」である。特に敷地北西側に位置するEL+16m以上の地形を、津波の遡上を食い止める「障壁」として期待している点について、その健全性や評価の妥当性が問われた。

  • 技術的な評価と結論(着地点): 事業者は、再評価による最大水位上昇(EL+5.06m)が、重要設備が設置されている敷地高さ(EL+11.0m)を大きく下回ることを示した。また、海水ポンプエリア等への流入経路についても、防水扉等の既存対策で浸水防止が可能と結論付けた。 規制庁は、計算上の結論(浸水しないこと)については一定の理解を示しつつも、自然地形を防護の要(障壁)として評価に組み込む以上、その地形が地震動や津波の繰り返し作用によって崩壊・変化しないという「物理的な健全性」の証明が必要であるとの評価を下した。

  • 規制庁からの宿題事項(コメント・指示):

    • 地形の障壁機能の立証: 北西側地形が遡上波を完全に遮蔽すると判断した根拠について、地形の地質構造、地震時の安定性、および構造物(道路や法面)の関与を含めて詳細に説明すること。
    • 保守的な評価条件の再整理: 数値シミュレーションにおける格子解像度や、防波堤の有無による水位変動の感度解析結果について、より保守的な側での評価結果を提示すること。

### 議題2:北海道電力(株)泊発電所3号機の設計及び工事の計画(設工認)の審査について

  • 議論の流れと論点: 3号機の設工認(設計及び工事の計画認可)における「工事計画の境界設定」が主な論点となった。特に、特定重大事故等対処施設(特重)などの大規模工事の範囲が、既存の保安規定上の管理区域や運用制限とどのように干渉し、それをどう整理するかが技術的な争点となった。

  • 技術的な評価と結論(着地点): 事業者の説明では、工事範囲の区分けは示されていたものの、規制庁からは「現場の作業員や保安監督者が、どこからが特重の工事範囲で、どこからが一般の維持活動なのかを一目で判別できるレベルに達していない」との厳しい評価を受けた。工事の「範囲」と「期間」における運用の制限について、より具体的な整理が必要との結論に至った。

  • 規制庁からの宿題事項(コメント・指示):

    • 保安監督の実効性向上: 保安の監督に支障を来さないよう、工事エリアの物理的な区分け(ゾーニング)と、それに対応した保安規定上の運用手順を補足説明資料に充実させること。
    • 大規模工事の定義明確化: 今回の申請に含まれる大規模工事の具体的な対象範囲を、図面上で他の工事と明確に区別して再提示すること

議題3:四国電力(株)伊方発電所第3号機の標準応答スペクトルの取入れに伴う設計及び工事の計画の審査について

  • 議論の流れと論点: 「標準応答スペクトル」の導入に伴う、既設設備の耐震安全性再評価のプロセスが議論された。焦点は、評価対象とする設備の選定フローが、震動特性(周期帯域)の変化を網羅的に捉えられているかという点にある。

  • 技術的な評価と結論(着地点): 事業者は代表設備を用いた評価手法を提示。手法の方向性は概ね了承されたが、旧基準からの地震力増加率の整理が不十分であり、評価対象から外れた設備にリスクが隠れていないかという懸念が残された。

  • 規制庁からの宿題事項(コメント・指示):

    • 選定プロセスの透明化: 全設備の中から評価対象を抽出した際、どのような「閾値」や「物理的根拠」を用いたのかを体系的に示す比較表を作成すること。

議題4:東北電力(株)女川原子力発電所及び東通原子力発電所の組織整備等に伴う変更に係る保安規定変更認可申請の審査について

  • 議論の流れと論点: 原子力部門の組織改編に伴う、意思決定権限の委譲と責任所在の明確化が論点となった。本店の役割が強化される中で、現場の「発電所長」の保安に関する最終決定権が損なわれないかが議論の核心であった。

  • 技術的な評価と結論(着地点): 組織変更そのものは経営判断として理解されたが、保安規定上の記述において「責任」と「権限」の所在が不明瞭な箇所が散見されるとの評価。実効性のあるガバナンス体制が維持されていることを文書で証明する必要がある。

  • 規制庁からの宿題事項(コメント・指示):

    • 責任境界の文書化: 新組織図において、安全情報の報告ルートと緊急時の指揮命令系統を明確化し、保安規定の関連条項との整合性を整理すること。